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54:再会


「な、何故このような場所に…」


「友人と会う約束をしていたので来ました、彼等は私の友人なのです」


聖女はそう言うと俺とアリアへ目配せする、どうやらこの場は彼女に任せた方が良さそうだ。


「皆様は職務にお戻りください、私は友人達と話してから聖堂に戻りますので」


「し、しかし聖女様を一人にする訳には…」


「私には聖杖もありますし、それにもしもがない様に皆様が職務を全うしてくださいますから帰り道に襲われる心配もないでしょう?

貴方達の職務への熱意は先ほど見させて頂きましたから」


聖女はニコリと笑うが騎士達は一斉に顔をひきつらせる、暗にあの親子とのやり取りを見ていたと言われた騎士達は一瞬だけ顔を見合わせてから答えた。


「わ、分かりました…どうぞお気をつけください」


そう言って頭を下げると騎士達はその場を後にする、すると聖女は俺とアリアの方へと向き直った。


「セレナ…」


「久しぶりだねアリア、それと貴方とは初めましてになりますね」


そう言って微笑みながら彼女は俺に問いかけた。


「ひとまずは落ち着ける場所で話したいのですがどうでしょうか?」






―――――


「ひとまず自己紹介からしましょうか」


宿へと戻ると再びフードを外したセレナは俺に頭を下げる、貴族の生まれだけあって綺麗な礼だった。


「私はセレナ=リベルタ、今はしがない聖女をしています」


「ベルクだ、今は“黒嵐騎士”としてアリアと共にいる」


「“黒嵐騎士”…もしかして称号を与えられたのですか?」


「ええ、ヴィクトリア姉さん自ら与えたわ」


「凄いですね、私と年は離れている様には見えないのですが…やはり貴方が」


…話してみると最初の雰囲気や聞いていた話から予想していたのとは違う印象を抱いた。


聖女という立場や権威を振りかざすでもなくアリアと衝突する様子も今のところはない、思わず拍子抜けするほど話が弾んでいた。


「正直こんな早く会えるだなんて思ってなかったわセレナ…」


「私もだよ、アリアを見た時は驚いたけど状況が状況だったからね…だから改めて言わせて欲しいの」


そう言うとセレナは深々と頭を下げる、突然の行動にアリアは少しだけ動揺していた。


「あの時ひどい事を言ってごめんなさい、今まで謝りにも行けなかったけどずっと後悔してた…だけど私はどうしてもこの国に来なければならなかったの」


「…セレナ、あの時の貴方に何があったの?今ならもしかしたらとは思ったけど聖杖を手にした貴方は焦ってた様に見えたわ」


「うん、全部話すよ…この杖を手にしてからの事も私がこの国に来た理由も」


セレナは手にした杖を掲げる、蒼い水晶から削り出されたかの様な杖の先端には翼のある女の姿が掘られており、淡い輝きを放っていた。


「聖杖“トゥルーティアー”は水を媒介にして色々な事が出来るの、さっきみたいに体中に巡った毒や病気を浄化したり治したりとかは教国でも伝わってるわ…でも本当の能力は“未来視”なの」


「未来視…これから先で起こる事が全て分かるという事か?」


俺が浮かべた疑問にセレナは首を横に振る、そして説明を続けた。


「未来が見えるといっても全部が分かる訳じゃないんです、見えるのは私に起きるだろう直近の出来事とこの世界で起こる最悪の未来なんです」


「最悪の、未来…?」


こくりと頷いたセレナは杖を強く握りながら答えた。


「このままだとこの世界は滅ぼされるんです、途方もなく強大な存在である“白い破滅”によって…」

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