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18:灰纏激虎


 虎は古来より優れた捕食者として恐れられた。


 森や草むらの中に入れば完全に姿を隠せてしまう隠密性、獲物が樹上にいようと捕らえる敏捷さと跳躍力、猫科が持つ動体視力と聴力に加え水牛の首をへし折る腕力と鋭い牙を備えた強靭な顎……捕食者として多くの要素を備えている。


 虎の尾を踏んではならない。一度虎の怒りを買えば被害は怒りを買った者だけでなく、その周囲に炎の如く広まるのだから……。






 ◆◆◆


 熱風が治まるとフレアの姿が変わっていた。


 全身を覆うのは身体のラインが出る灰色の下地、その上から各部に備わった橙の装甲からは陽炎が生じるほどの熱が放たれていた。


「ぶっ……殺す!」


 燃え盛る二足歩行の虎となったフレアが叫ぶと同時に視界から消える。その直後に背中に凄まじい衝撃が走ってふき飛ばされた。


「くっ……」


 地面を削りながら倒れるのを堪えると爆発音が響く。再び衝撃が左から襲い掛かってふき飛ばされるが今度は一瞬だけだが姿を捉えた。


 フレアが手足の爪を床に喰い込ませながら構える。装甲から炎が噴き出して高速で突っ込んでくると鞭の様に振りかぶられた掌打が胸部を捉えた。


「かはっ!」


 肺の空気を押し出されたながらふき飛ぶ。壁にぶつかった瞬間に真上から殺気を感じて剣を上に向けた。


 壁にしがみついていたフレアの爪と剣が火花を散らす。フレアは爪を剣に絡ませると水の様に降りて腕に絡みついてきた。


(これは……獣特有の柔軟性か!)


 腕の関節を決めたフレアがへし折ろうと力を込める。その瞬間に腕ごと壁に叩きつけて剥がそうと動いた。


 フレアは壁にぶつかる直前に離れると再び陽炎を纏う。白かった爪が段々と赤くなっていくと再び爆発音と共に突っ込んできた。


 剣を構えると同時に爪と衝突する。一瞬で通り過ぎた爪が肩を掠めると竜鱗で生まれた鎧が裂けた。


(これは……熱を爪に集約させたか)


 再び迫る音の方向に向けて剣を振るう。フレアは剣が届く直前で腕の爪を立てて急停止すると剣が通り過ぎた瞬間に勢いを殺さず側転するかの様に浴びせ蹴りを放ってきた。


 赤くなった爪が兜を裂く。三本の線が入った視界はあと一歩踏み込まれていたら失われていただろう。


 背後から迫るのを察して格納していた翼を開く。風を起こしながら拡がった翼を避ける為にフレアは距離を取ると手足の爪を地面に喰い込ませて構えた。


「そんな翼、切り裂くまでさ!」


 フレアは衝撃波を巻き起こしながら突撃する。翼をしまった瞬間に腿を裂かれて傷が焼かれた事で膝をついた。


「終わりだよ!!」


 フレアの叫びと共に赤く灼けた爪が俺に迫った……。

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