12:爪牙の園
それは生命が生まれて最初に得た武器だった。
ある獣は小柄ながらも鎌の如き爪で己より巨大な存在を狩った。ある獣は巨体に相応しき巨大な牙で天敵なき存在となった。またある獣は天敵から逃れる為に爪を用いて地上と無縁の存在となった。
生命と共に進化と発展を遂げてきたもの……即ち爪牙こそ最古の武器であり、道具であり、命を脅してきたものである。
◆◆◆
エデスが纏ったのはあらゆる獣の頭骨と爪牙を組み合わせたかの様な鎧だった。至るところにある爪と手にした牙の双剣は掠めただけで致命傷となりそうな鋭さを宿していた。
「おおお……おおおおお!」
エデスの両肩から飛び出た蛇の骨が飛び出すと俺に向けて迫る。走りながら剣で等間隔に斬り落としていくとエデスの身体と双剣が音を立てながら変化していった。
「むっ!?」
一瞬で四足獣の姿となったエデスが双剣を口に加えて横切る。脇腹が斬られて血が舞うと同時に再びエデスの姿が変わり、猛禽の姿に変わると空中を旋回して足と一体化した剣で斬りつけてきた。
剣で受けるが衝突の勢いで弾かれ転がる。すぐさま立ち上がると人の姿に戻ったエデスが振り下ろしてきた双剣を受け止める。
「しゃあ!」
エデスの振るう双剣が大気を掻き鳴らす。獣の様に荒々しくも致命の鋭さを宿す乱撃が休みなく襲い掛かった。
籠手の五指から光線を放つ。エデスは空中で翻りながら猛禽の姿となって俺を掴むと一気に上昇して俺を天井に叩きつけた。
「まだだ!」
エデスは俺を掴んだまま急降下する。俺を掴む脚を斬り裂こうとすると直前で放され、地面に風の魔術を放って着地すると四足獣の姿になったエデスが牙を剥いてきた。
(展開をする隙を与えないつもりか)
襲い掛かる牙を弾きながら考える。人の姿になったエデスが全身の爪を立てて体当たりしてくるのを横に避けると背面にある象の頭骨が動いて巨大な牙を振るってきた。
振るわれた牙を受け止めるが衝撃を殺し切れずにふき飛ぶ。再び四足獣の姿になったエデスは凄まじい速さで走り回り、様々な死角から飛び掛かってきた。
(なるほど……)
幾度も剣と爪牙がぶつかり、擦れ合う音が響く。それがどれだけ続いたかは分からないが攻撃を防いだ瞬間に剣が弾かれ腕が高く上がった。
エデスはその隙を逃さず双剣を手にして迫る。繰り出される突きを籠手で受け流すももうひとつの剣が俺の胴に向けて迫った。
「もらっ……たぁ!!」
エデスの牙が俺の胴を貫いた……。
「……竜装展開“生命の到達点”」




