2:求めぬ邂逅
「おらぁ!!」
エイクの棍がオーガの頭を砕く。肉がひしゃげ骨が砕ける音と共にオーガは魔石へと変わっていった。
「エイクさん、こっちも終わりました」
仲間達も戦闘を終えて合流する。魔石を回収していると仲間の一人が疑問を口にした。
「なんか、聞いてたよりも出てくる数が少なくないすか?」
「やっぱそうだよな? 事前に集めた情報より魔物の数が少ねえ気がしてた」
“悪鬼の根城”はオーガを始めとしたトロルやオークの上位種がひしめくダンジョンだ。更に宝や魔道具が最深層のボス部屋でしか手に入らないという特徴がある。
罠の類いは他に比べて少ないが魔物の出現数が多く、入った者は度重なる戦闘によって心身をすり減らしていくダンジョンなのだ。
「他の奴等が先に入って進んでるんすかね?」
「いや、このダンジョンに入るのは俺達だけだった筈だ。それに深層でいきなり入るダンジョンを変える馬鹿がいるかよ」
ダンジョンは多種多様で入るダンジョンが違えば準備も変わる。罠が多く入り組んでいるダンジョンなら斥候を始めとして全員がはぐれたり等の非常時に備え、広大で補給が出来ないダンジョンならその分だけ食糧や物資を用意しなければならない。
だからこそいきなり入るダンジョンを変えるなどという事をする者はまずいない。魔大陸深層に挑めるほどの冒険者となればありえないとさえ言えた。
「……一旦進めるところまで進むぞ。何かしらの異変があったら戻ってギルドに報告する」
エイクの決定に仲間達は頷いて先に進む。その後もまばらに出現する魔物達を倒しながら最下層である“鬼達が騒ぐ玉座”に辿り着いた。
「待て」
エイクが手振りで止まる様に指示する。視線の先には僅かに開いた扉があり、そこから音が漏れ出していた。
「この音……誰か戦ってないすか?」
「やっぱり俺達以外にも来てたのか?」
エイクは一瞬沈黙するがすぐに扉を蹴り開ける。開け放たれた事でエイク達は部屋の中で起きている事を目の当たりにした。
「ガアァ―――――!?」
このダンジョンのボスはオーガロードと呼ばれる魔物だ。強靭で巨大か体躯と魔術を操る知性を備えたオーガの最上位種であり、下位のドラゴンを容易に倒せるだけの強さを持っている。
それが一人の冒険者によって追い詰められていた。左腕を斬り落とされ、特徴である角が砕かれた頭を始めとして全身から黒い血が流れ落ちていた。
「ガアァ―――――!!」
オーガロードが右手の大鉈を振り下ろす。相対する冒険者は流れる様に避けるとオーガロードの腕を駆け上がって手にした剣を振るった。
「ガ……」
オーガロードの首が飛ぶ。地面を何度かバウンドすると姿が崩れて巨大な魔石となっていった。
「……はぁ」
空間を支配していた沈黙を冒険者……ロウドのため息が破った。




