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105:追跡


「馬鹿な……百人全てを……選りすぐりの骸を術も使わず倒すなど!?」


 ムドウは目の前で起きた事を信じられないとばかりに取り乱す。だがすぐに俺を睨むと控えさせていたのであろう黄泉忍達が壁から降りてきた。


 短刀を手に襲ってくる黄泉忍達を迎え討つ。向かってきた数体を倒しながら見上げるとムドウは壁の奥の方へと向かっていた。


「逃がすか!」


 最後の黄泉忍を倒して周囲を見渡す。さっき手放した小剣を壁に突き刺すと小剣を足掛かりにして跳躍する。壁の縁を掴み、足を掛けて登ると柵を越えて壁の上に立った直後に黄泉忍達が再び現れた。


「これだけの数を事前に呼び出していたのか」


 ムドウの用意周到さに舌打ちをしたくなるがカオスクルセイダーを抜いてムドウが入っていった通路に向かう。


 黄泉忍が跳躍して襲い掛かってくる。素早く踏み込んで袈裟斬りで両断するとその後ろから短刀の鋒が目前に迫った。


 腰を捻って避けながら短刀が握られた腕を掴む。カオスクルセイダーで掴んだ腕を斬ると後ろに下がった黄泉忍の首を刎ねる。


 通路に入ると奥から三体の黄泉忍が向かってくる。カオスクルセイダーを投擲して先頭にいた黄泉忍の頭を貫くとハイエンドを抜いて前に出た黄泉忍を腰から両断し、振るわれる短刀を前転して避けるとカオスクルセイダーを掴んで振り返った黄泉忍に交差させて振るった。


 振り返って通路を進むと少し開けた部屋があった。中央には不気味な祭壇に妖しく輝く水晶があり、部屋の奥にある階段を登っていくムドウの姿が見えた。


 水晶からは見てるだけで息苦しくなる様な気配が発せられている。もしやと思い駆け上がって水晶を破壊すると輝きが失せると共に息苦しさが消えた。


「……ん? おお! ようやく喋れるわい!」


「やはりこれは封印の要か」


 試してみるとカオスクルセイダーも形を変えられる様になっている。だが展開といった強力な技はまだ使えないと感覚で分かる。


「八雷神、この術はどういう構築か分かるか?」


「うむ、幾つかの封印を重ねて発動する事でひとつの巨大な封印術とするものじゃ。どうやらこの城の階層毎に封印を施して儂等を封じておった様じゃ」


「……つまりムドウを追いながら封印を壊していけば良い訳か」


 そうやって話している間に黄泉忍達が俺を囲う様に現れる。術が使える様になるのは向こうも同じ様だ。


一斉に飛び掛かってくる黄泉忍達に手にした薙刀を円を描く様に振るってまとめて斬り裂く。霧散していく黄泉忍達を払うとムドウを追って階段を登っていった。

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