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93:妄執


(ムドウside)


「ドウゲンは死んだか」


 天堂城の天守閣で式神から得た情報を呟きながら式神を符に戻す。ベルクと周囲の者達の厄介さに歯軋りをしてしまった。


「だがこれで情報は集まった」


 背後にオヅマの当主であるヨウザンが異常なまでの邪気を纏っている。立ち上がる気力さえないのか眼だけをムドウに向けて掠れた声を発した。


「き……さ、ま」


「……まだ喋れる余力がありましたか」


 ヨウザンに振り向くと手をかざして拘束の術で動きを封じる。ヨウザンだけでなく護衛や城内にいる者はドウゲンの黄泉忍によって拘束されるか殺されていた。


「黄泉兵に、こんな、力は……」


「仮にも国を治めるだけはあって私と黄泉兵を調べて対策はしていたのまでは良かった。ですが私の方が上手でしたな」


 ヨウザンはただ座していた訳ではない。ムドウが翻意を抱いた時に備えて結界を貼ったり術や妖魔に通じる呪具を持った護衛を控えさせていた。


「相手が悪かったですな。所詮数十年程度の術師の結界を気付かれぬ様に書き換えるのは私には造作もない」


「!」


「一時とは言え仕えた主ですからな。その命は有効に使わせて頂きましょう」


 控えていた黄泉忍に指示を出してヨウザンを術で作った牢に閉じ込める。そして城下にひしめく黄泉の魔物達がおぞましい声を上げていた。


(ようやく、ここまで来た)


 眼を伏せながら思いを馳せる。かつて成せなかった大望を果たす為にあらゆる手段を使った。黄泉の門の発見と封印の手段を絶つ為にあの男と取り引きをしたのだから。


“黄泉の門……私でしたら見つける事が出来ますとも、異界や別次元には一家言ありましてね”


“……望みはなんだ?”


“この国に伝わる神器、それと大業物を頂ければ……大業物は実物が欲しいですが情報だけでも構いませんよ?”


“良いだろう、大業物は我々が調べた研究資料の写しをやろう。神器に関しては条件がある”


“聞きましょう”


“ヒジマの里、そこにいる者を皆殺しにして人が近づけぬ様にしろ。そうしたらその里にある神器は好きにするが良い”


“くくく……良いでしょう。交渉成立です”


 かつて私の下を訪れた影のような男を思い出す。二度と会う気はないがあの男によって封じられていた黄泉の門を見つけ封印の手段を残すヒジマの里を滅ぼせた。


 だと言うのに封印に必要な神器は再び集まり、血と力が薄まり消え去った筈のカミシロの一族が再び現れた。


「これが運命とでも言うつもりか」


 ならばその運命を我々が断ち切ろう。降りかかる全てを払いのけ、立ち塞がる障壁を打ち砕いてくれよう。


全ては我が一族の大望の為に……。

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