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70:八雷神


「「「カカカカ!」」」


 幾重もの笑い声が同時に響き渡る。雷光が周囲を照らす中で祭壇の周囲には八つの角が生えた頭蓋骨のようなものが青白い焔を纏って浮かんでいた。


「久々の外じゃな!」


「しかしこの空気、大分懐かしい黄泉の臭いがするぞ!」


「然り然り! どうやら黄泉の門が再び開いておるようじゃ!」


「うむ! そして我等を起こしたのはそこの童か!」


八の頭蓋の瞳が一斉に俺を捉える、雷光を爆ぜさせながら一瞬で俺を包囲した。


「うむ? この童……カミシロの血筋ではないか?」


「おおそうじゃそうじゃ! 人には過ぎた骨肉にこの眼! タケトとよう似ておるわい!」


「しかしタケトに似てはおるが纏う気は違うのう……童、名をなんという?」


「……ベルクだ、ベルク=リーシュ=ミルドレア」


「長ったらしい名前じゃのう……まあベルクで良いか、我等八雷神を眠りから目覚めさせた訳を聞こうかの」


 頭蓋の中でも一際大きく落ち着いた口調の奴が話し掛けてきた。端的に今のヒヅチの状況を話すと雷神達が再び笑い始めた。


「それはまた面白い事になっておるのう」


「うむうむ、そして童共はそれを止める方法を探す内に此処まで辿り着いたようじゃな」


「カカカカ、それで我等の下に来るとは随分と面白い星の下に生まれておるな」


「お主ら落ち着けい……して童よ、我等を起こしたという事はお主は我等の力を使いたいという事じゃな?」


「そうだ」


「「「ク……クカ……カカカカ!!!」」」


 八雷神の笑い声が響く、だがその笑い声はピタリと止むと同時に凄まじい殺気が放たれ石の床と壁に罅が走った。


「舐めておるのか童?」


 頭蓋が集まってひとつになる。雷が集まって構成された体は俺の倍近い大きさを誇り、四本腕の異形の鬼とでも言うべき姿になった八雷神が俺を見下ろしながら口を開いた。


「かつては貴様の祖先に降りこそした。だが我等は天上に住まう者すら焼き焦がす火の具現なるぞ。神たる我等を利用しようというその増上慢……その身ごと砕いてやろうか?」


 八雷神がギョロリと睨みながら問い掛ける。俺はそれに対して睨み返しながら答えた。


「やってみろ」


「何?」


「今更神に臆するような生き方はしていない。力を貸すのか貸さないのか……俺が知りたいのはそこだけだ」


「童……随分と自信があるようじゃな」


「試してみるか?」


 俺の挑発に八雷神は重圧と雷を同時に放つ、そして顔に好戦的な笑みを浮かべて叫んだ。


「クカカカカ! 面白い! 実に面白いぞ童! 良いじゃろう! お主が我が雷を宿すに値するかひとつ試そうではないか!!!」


 その言葉と同時に雷が俺に降り注いだ。

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