表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
276/367

69:封じていたもの


 翌日、陽が昇ってすぐに調査を開始した。


 ヒノワとセレナには粘土板や壁画を模写してもらいラクルとアメリには箱の中のものを取り出して並べて貰っている。


 殆どのものが祭具だったりするが中には古代に造られた珍しい武器などもあり術の触媒としてかなり良いものが納められていた。


「それにしてもかなりの量だな、部屋の大きさを考えてもこれほどの魔道具が完全な状態で保管されてるとは……」


「良く分からないが凄い事なのか?」


「ダンジョンならともかく遺跡ではな、大抵の遺跡の調査とかじゃ管理する者がいなくなった場所は朽ちていくし厳重に保管されていても長い年月に晒されれば劣化したりする」


 ダンジョン化してない遺跡で見つかる武器や道具は大抵劣化している。魔道具やそういった加工や付与がされていても永遠には持たないし大抵は墓荒らし等が荒らし回ってなくなっている。


 この空間に保管されているのは文は紙よりも朽ちにくい粘土板や石板で残されたり魔道具も朽ちるのを防ぐ為に厳重に梱包されていた。言ってしまえば自分達が使う事を想定していないぐらい徹底された保管の仕方とも言えた。


 俺がラクルにそう説明するとラクルも言われてみたらと首を傾げる。


「それだけ大切なものだったという事じゃないのか? 信仰を重視していれば祭具の扱いはかなり慎重になると思うが」


「俺もそう思うが……だとしたらザンマもカムツヒも此処に隠しておく気がしてな」


「あ……」


 現にフィフスによってカムツヒが一度奪われているのだ。これだけ徹底して誰にも見つからないようにしているのなら此処に隠しておいた方が安全な気がするがそうは出来なかった訳があるのか?


 そんな事を考えながらある程度作業が終わって俺も調べていると部屋の奥に黒い石が置かれた小さな祭壇があった。何かと思い近付いてみると懐が暖かくなった。


 懐を探ってみると熱を放っていたのは小刀だった。小刀は黒い石と反応しているらしく石も僅かに光を帯びていた。


「ベルクさん、それは……」


「母さん達が代々継いできたものだが……」


 全員が俺の様子に気付いたのか俺の側へとやってくる。石を見たセレナとヒノワがごくりと喉を鳴らした。


「この石……さっきまで反応がなかったのに強い力を感じます」


「はい……かなり強い存在を封じてると今なら分かります」


 二人の言葉に祭壇を注意深く見る、すると下に文字が彫られておりしゃがんで目を通してみる。


「……“世界が黄泉と繋がり黄泉の神降りし時、神すら焼き焦がす八の雷を以て境界を焼き払わん。八の雷を宿すに足る強靭な依り代にこそ雷神達は輝く”」


「読めるんですか?」


「いや、読めるというより……なんとなく分かる」


 古代ヒヅチ語はまだ完璧ではないが何故かこれだけは理解できる。そしてどうすれば良いかも……。


「全員、下がっていてくれ……セレナは結界を」


 俺はそう言うと小刀を引き抜く、小刀を逆手に持って握ると祭壇の石に思い切り振り下ろす。


 刃が石に深々と刺さる。罅が入り広がっていくと石を中心に部屋中に雷が奔った……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ