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63:二頭


 翌朝、ルスクディーテに夜這いを掛けられ五日分と称して搾り取られながらもなんとか起きる事が出来た。


 (事前に準備を終わらせておいたのが功を奏したな……)


 門の前には既にラクル達が集まっており、いつでも出れる様に準備をしていた。


 「すまない、待たせたみたいだな」


 「遅れてる訳ではないから良いさ、ところでこの人数で行くとなると馬を借りた方が良いんじゃないか?」


 「それだと馬に合わせて休憩を取る必要があるし全力疾走させる訳にもいかないからな。だからこっちで行く」


 俺はそう言ってカオスクルセイダーとハイエンドを掲げる、闇と光が溢れると同時に呼び出す。


 「来い……ガルマ、ソウガ」


 呼び声に応じて漆黒の鎧を纏った軍馬(ガルマ)と竜の頭に白亜の鱗を纏った竜馬(ソウガ)が現れる。ガルマには戦車(チャリオット)が繋げられており騎手を含めて三人は乗れる造りになっている。


 「ラクルとアメリはソウガに乗ってくれ、慣れるまで少し手間だが普通の馬より早くて強靭だ」


 「……振り落としたりはしないか?」


 「……言い聞かせるから大丈夫だ」


 ソウガにラクル達を乗せる様に言うと仕方ないとでも言うように鼻を鳴らす。ひとまずは大丈夫だろうと判断して各々乗り込んだ。


 手綱を取ってガルマに指示を出すと戦車をものともせず走り出す。ソウガもラクル達を乗せて後を追うように走り出した。






―――――


 合間に休憩しながらもガルマ達を走らせてヒジマの里があった山の麓まで辿り着く。と言っても陽が傾き始めており登るのは危険と判断して麓で一夜を過ごす事にした。


 各自のテントを設置して夕飯を作り終える頃には陽は沈んでおり焚き火の灯り以外は暗闇が包んでいた。


 「見張りはまず俺とラクルでやる、セレナ、ヒノワ、アメリは先に休んでくれ。眠れなくとも目を瞑って横になれば大分違う筈だ」


 特に反対意見が出る事もなく夕食を終えてセレナ達に休んでもらう。焚き火に薪をくべながら山の方を見つめるラクルに声を掛けた。


 「ようやく来れたな」


 「ああ……」


 ラクルはザンマに触れながら答える。物憂げな表情で言葉を続けた。


 「ガンザさんの遺品も何もないが……里の浄化を終えたら墓を作っても良いか?」


 「ああ、出来れば息子さん達と一緒に弔ってやりたいが……ん?」


 カオスクルセイダーから伝えられた意思に耳を傾ける。それを聞いてラクルと同じく山を見上げた。


 「セルク?」


 「あ、いや……何をするにも毒の浄化からだな」


 ひとまず墓の場所に関する当ては問題なさそうだ……。

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