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62:分かれた血筋


 「ヒジマの里……」


 かつてガンザから聞いた話を思い出す、故郷をフィフスによって滅ぼされ毒に犯されたと。


 ラクルもガンザを思い出したのか苦い顔を浮かべている、背負ったザンマに振れながらも姿勢を正して沈黙を貫いた。


 「ヒジマの里はゴモンと祖先を同じくする者……分家と言えますがゴモンとは違い俗世との関わりを減らし穏やかに暮らす事を選びました。ゴモンもその意を汲んで里がある山に人が立ち入らぬ様にしていたのですが……」


 「何が起きたかを知っているのですか?」


 「事を知ったのはガンザ殿が国を出る前に残した手紙を見てからです、急いで調査させましたが里を中心に毒が広範囲に広がっており結界で防ぐ事しか出来ませんでした」


 「……フィフスめ」


 話を聞くに奴がばらまいた毒はかなり強力なものらしい、倒しこそしたがそれでも忌々しさが込み上げてくる。


 「ヒジマの里の場所を教えてもらえないでしょうか?」


 「しかし……」


 「元々ガンザ殿とその家族の弔いの為にも訪れる予定でした。毒に関しても我々が浄化します」


 「分かりました」


 アメリは地図を用意させるとヒジマの里の位置を教えてくれた。距離はあるがガルマなら半日で着けるだろう。


 「後は誰が行くかだが……まずセレナとラクルは確定としてアリアとシュリン、セツラは残ってもらえるか?」


 「分かったわ」


 「良いけどなんで?」


 アリアが頷きシュリンが疑問を口にする。セツラもシュリンと同じらしく首を傾げていた。


 「ヒジマの里には調査に加えて行きと帰りを考えると長く見積もって五日は掛かる。アリアにはその間の俺の代行、二人はアリアを補佐してくれ」


 「わかった」


 「うん」


 「良し、それと里にはヒノワにも来てもらいたい」


 シュリンとセツラの返事を聞いてからヒノワに向き直る。ヒノワはこくりと頷いて答えた。


 「微力ではありますがお役に立ちます」


 「頼んだ、なら明日の朝に」


 「あの!」


 俺の言葉を遮って声が上がる、声の主に振り返ると口を引き結んだアメリがぽつりと呟いた。


 「私も……一緒に行ってよろしいでしょうか?」


 「……ああ、明日の朝に出発するから準備をしといてくれ」


 意外な事がありはしたがひとまずはその場で解散となった。






―――――


 「セルク、彼女は大丈夫なのか?」


 廊下でラクルと並びながら話す、先程のアメリの様子を思い浮かべながら答えた。


 「害意や悪意はない、が……まだ不安定だな」


 アメリの眼は俺の言葉に思うところがあったのか戸惑いが浮かんでいた、だが奥底には暗い炎の様なものが燻っている。


 (今のアメリに足りないものに心当たりはある……だがそうだとすれば)


恐らく俺ではアメリに教える事は出来ないものだ。何よりも言葉ではなくアメリ自身が気付かなければならない。


 それを教えられるとするならば……。


 「ラクル、頼みがある」


 俺はそう言って他に聞かれない様にラクルに頼んだ。

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