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48:対峙


(セツラside)


一人山の中を抜けてオヅマ軍の後方に回り込む、イルマっていう人と別動隊というのもそろそろ着いてる頃だろう。


少しして信号弾が上がる、僕は背負った錆不離を手にしながらオヅマ軍の背後を取った。


……僕が錆不離を使う事を父は望まないだろう。


だけど僕は戻ろうとは思わない、父の血だけじゃなく多くの血で染まった手じゃ今更平穏な生活なんて送れない。だから僕はこうして生きていく。


「転身“錆不離(さびはなれず)”」


荒ぶる魂と力が漲る、額から髪をのけて角が伸びると高揚と衝動が頭を支配していく。


「あは」


だけどその中で冷静な自分もいる、鬼となった僕を俯瞰して見ている様な感覚があった。


「あはは」


ベルクと戦ったから? 今までは目に映る全てが敵だと思えたけど今なら敵味方の区別がつく。


一緒に戦うと聞いた時は不安だったけどこれなら大丈夫そうだ。


「あははははははははは!」


錆不離を思い切り振りかぶって僕はオヅマ軍に飛び掛かる。それと同時にイルマが率いる別動隊がオヅマ軍の横腹に突撃した。










―――――


(シオンside)


「鬼がゴモン軍と同時に……?」


報告に思わず唖然とするがすぐに思考する、鬼は現れた時点で戦をやめて逃げるべきというのがヒヅチの共通認識だ。


だがゴモンは戦をやめるどころか鬼と同時に後方部隊を攻撃している、それが意味するのは……。


「鬼を従えたというのか」


過去にも鬼を捕らえ利用しようとした国が軍を派遣した事があった、だが返り討ちにあって軍が壊滅状態となったその国は他国に落とされ滅んだ。


鬼は嵐や地震と同じ天災の様なもの、従える事など出来ないというのが出された結論だった。


「これほどとはな……」


「シオン様!」


声を掛けられそちらを向くとフドウとヒルコがいた、どうやらあの穴と土石流から逃れて戻ってきた様だ。


「本隊の助かった者達を連れて参りました。如何致しましょう?」


「直に黒嵐騎士団率いるゴモン軍が来ます、私としては撤退した方が良いかと……」


二人の言葉を聞き思考を早めて考える、これほどの仕掛けと動きを見せるベルクが追撃を緩めるなどあり得ない。


山の裏に配置したゴモン軍を引き連れ崩れたこちらを攻撃するだろう……だとすれば猶予はない。


「撤退するぞ、フドウとヒルコは後方を襲撃したゴモン軍に当たれ。鬼は俺が食い止め……」


複数から迫る気配に双刀を引き抜く、フドウとヒルコも武器を構えてそれぞれの方に動いた。


左から迫る泥の腕をフドウが斬るもただの泥に戻ったそれはフドウの動きを抑え、一直線に迫る焔をヒルコが展開した水が抑えるも小規模の爆発が起こる。


俺は上空から黒い風を纏って迫る槍を双刀で弾くが周囲を空から降り注いだ矢から伸びた植物によって囲われた。


「撤退を選ぶだろうな、アンタなら」


空から黒い影が降り立つ、鋭い眼で俺を見据える男……ベルクは周囲の兵が息を呑むほどの重圧を放ちながら告げた。


「だから、事前に潰させてもらった」


本陣は神器の担い手達によって包囲されていた。

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