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35:幾重もの(複数視点)


(ラクルside)


跳躍と同時に土砂を巻き上げながらザンマを両手で振りかぶる、土砂はザンマに集まって巨大な刀身を形作り極限まで重量を増加させた一撃は結界に罅を入れ盛大に砕ける音を立てて破壊した。


見れば右側の結界も同じ様に破壊された、どうやら彼女達も俺と同じ様にセルクを助ける為に行動を起こした様だ。


「このまま、押し切る!」


ザンマを真一文字に振るう、巻き上がった土砂が巨大な腕の様に唸ってオヅマ兵達に襲い掛かった。


鍛練の果てに土属性の魔術を習得した事でザンマの力をより引き出せる様になった俺はこの戦場で遺憾なく振るった。


(このまま本陣まで突っ切る!)


立ち塞がるオヅマ軍達を蹴散らしながら俺は本陣に向けて突き進んだ。









―――――


(シオンside)


「と、言ったところだろうか?」


左右の戦況を見ながら俺はそう呟く、そして上空から迫る気配を感じながら腰に佩いた双刀を引き抜く。


紅の鳳が象られた刀に炎を宿しながら振るう、炎は巨大な翼の如く広がって上空から降り注いだ矢の雨を焼き払う。


金の龍が象られた刀に雷を宿して天に翳す、雷は一条の矢となって炎を貫き、上空で翼を羽ばたかせ弓を構えていた娘に迫った。


「!」


「ほう、炎に視界を遮られている状況で避けるか……随分と勘が良いな」


雷を避けるなどどれだけ反応が良くても不可能だ、つまりあの娘はあの炎に視界を遮られながらも俺が雷を放つのを察知して回避行動を取ったのだ。


「黒嵐騎士団か、中々の者達が揃っているではないか……俺の配下達とどちらが強いかな」


飛び去る娘から眼を放して俺は再び黒き鬼神を捉えた。








―――――


(アリアside)


「シュリンの矢を防ぐなんて……」


焔装で結界を破壊した私の視界に映ったのはシュリンが雷によって撃ち落とされかけた光景だった。


幸い直撃はしなかったのかシュリンは本隊に向けて飛んでいっている事から無事な様で一安心する。セレナには部隊を率いて本隊に合流してもらってるから巻き込む心配もない。


「行くわよ、ルスクディーテ!」


焔でオヅマ軍を焼き払いながら進む、すると大気を貫いて迫る何かをルスクディーテで防いだ。


「凄いねえ……あの結界を壊すなんてシオン様くらいしか出来ないと思ってたよ」


気だるげな言葉と共に白装束の上から鎧を纏った男が現れる、長身痩躯な男の手には水を纏った矛が握られていた。


「私はヒルコ=ミヌシ、君の相手をさせてもらうよ……荷が重いなぁ」


男……ヒルコはそう言いながら矛を構える、言葉とは裏腹に隙のない構えは確かな実力がある事を示していた。


「でもやるしかないかぁ……やるよ“(みずち)”」


そう言うと矛から溢れた水が蛇の様に襲い掛かってきた。









―――――


(ラクルside)


土砂の腕が斬り裂かれて崩れ落ちる、崩れ落ちた土砂の上を踏みしめながらそれは姿を現した。


それは巨大な鎧を纏った偉丈夫だった、2mは超える巨体にそれを支える大樹の如き脚、人の頭を握り潰せるのでは思わせる太い腕と大きな手には独特な意匠の長大な剣が握られていた。


「外つ国の戦士よ、貴様の名を聞こう」


「……ラクル=ヴァリアント、ザンマの担い手だ」


低く野太い声で誰何を問われ答える、偉丈夫は剣を構えながら面頬から覗く眼で俺を捉えた。


「我が名はフドウ=ゴウマ、この利剣“金剛夜叉(こんごうやしゃ)”を以て貴様を討つ」


フドウはそう告げて俺に剣を振り下ろしてきた。

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