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23:圧勝


「被害状況は?」


オヅマ軍の蹴散らして伏兵部隊と合流すると部隊を率いていた者達は俺の確認に礼を取りながら答えた。


「傷を負った者はいますがいずれも軽傷、死者は一人も居りません」


「こちらも同様です」


「分かった」


聞き終えると辺りを見回してオヅマ軍の殲滅とゴモンの兵達の様子を確認する。そして刀を掲げて風に声を乗せて宣言した。


「勝鬨を上げろ!この戦ゴモンの勝利だ!」


俺の言葉にゴモン軍が各々の武器を掲げて叫ぶ、オヅマに対して圧勝したという事実は彼等の魂を否応なく昂らせていた。


「ベルク」


喜び合うゴモン兵に紛れてアリア達と合流する、見るとシュリンの手には穴の空いた紙が握られていた。

 

「皆良くやった……それは?」


「普通の鳥じゃない気配がしたから射ち落としたらこれになった」


「流石だな……ヒノワ、何か分かるか?」


シュリンから紙を受け取ったヒノワはジッと見る、紙に書かれている文字をなぞりながら答えた。


「これは式神の呪符……ヒューム大陸だと使い魔に分類されるものです、術式からして術師と視界を共有するもので間違いありません」


「視界の共有……とすると俺達の事はその術師にはバレたか」


厄介な事になった、今回の戦で敵を殲滅したのは俺達の存在が知られるのを遅らせる為だ。


情報が知れ渡る前に軍を再編して周囲にあるオヅマの城をふたつは落としたかったが知られた以上は予定を変えなければならないだろう。


「全員ついてきてくれ、予定を前倒しで動く」


アリア達と共にライゴウの下に向かう、ライゴウは俺を見ると破顔しながら近づいてきた。


「ベルク殿!凄まじき戦ぶりでしたぞ!」


「ありがとうございます、ですがオヅマには俺達の事がバレました」


ライゴウに呪符を見せながら状況を説明するとライゴウは表情を戻して俺の話を聞く姿勢を取った。


「ライゴウ殿、俺達はオヅマの城攻めに行きますのでこの場の後処理をお願いします。それと今すぐに動ける兵を千ほどお借りしたい」


「承知した、騎馬隊千人をお連れくだされ。

この場は儂が請け負いましょう」


ライゴウは踵を返すと号令を掛けて兵達に指揮を飛ばす、部隊長達もすぐさま動き騎馬隊が俺の下に集った。


「聞け!ゴモンの戦士達よ!」


ライゴウが全体に響き渡る声で叫ぶ、大気にビリビリと響く声で命じた。


「これよりベルク殿はオヅマの城のひとつを攻めに行く!耐え忍ぶ時は終わりだ!今こそ我々はオヅマに一矢を報いる時だ!」


ライゴウの言葉にゴモンの兵達の表情が引き締まる、大将を任されるだけあってその言葉は強く響いていた。


「騎馬隊はベルク殿に続け!ベルク殿の言葉は儂の!ひいては当主様の言葉と心得よ!

残りの者達は儂と共に戻って次の戦に備えるのだ!」


「「「はっ!」」」


こうして俺達は騎馬隊を率いてオヅマの城へと向かった……。

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