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21:一閃


国境の砦につくと偵察に出ていたアリアとシュリンと合流する、砦からシュリンが指を差す方を望遠鏡を覗いて見てみると平原をオヅマの旗を掲げた軍がこちらに向かっていた。


軍の先頭にいる兵達は鎧を纏ってこそいるが兜の下にある顔は眼は濁り青黒い肌に乱杭歯とリビングデッドの類を思わせる姿だった。


「あれが黄泉兵か、指揮官はどいつだ?」


「あそこ、あの一番奥で馬に乗ってる奴」


シュリンが指を差した方を見ると軍の後方で周囲にいる者と下非た笑みを浮かべながら馬を歩かせる男が見えた。


どうやら人間の兵は全て軍の後方に配置されており、指揮官や周囲の表情から察するに戦いは全て黄泉兵任せにして自分達は略奪だけすれば良いといったところだろうか。


「それで、どうするの?」


「まずは……」


アリア達に俺が考えた策を伝える、アリア達は策を聞くと頷いて同意した。


「なら行こう、この戦で俺達の力に半信半疑な

ゴモンの者達を納得させる」


俺はハイエンドを刀の形に変化させながらアリア達に告げた。


「その為にも、圧勝するぞ」








―――――


砦がある山の麓まで進軍してきたオヅマ軍が見えてきたところで俺は前に出る。


背後にはライゴウを先頭にゴモンの兵達が俺を見ており、背に向けられる幾多の視線を感じながらも強化した視力でオヅマ軍の指揮官を捉えた。


「クノウ……アンタの魂を力にするぞ」


カオスクルセイダーの中にある魂のひとつにそう呟いて目を閉じる、短く息を吐くと手を掲げて力ある言葉を叫んだ。


「軍装展開“黒纏う聖軍(カオスクルセイダー)”」


黒い嵐が巻き起こって鎧となる、ハイエンドを手にすると漆黒の鞘に納めて腰に構えた。


「あれは……!?」


後ろで漏れ出た声を気にせず心を静める、ハイエンドの光をカオスクルセイダーの闇で抑えながらクノウの魂が有している記憶にある動きをなぞる。


重心を落として脚に力を溜め、腰を基点に上半身を引き絞る様に捻りながらハイエンドを握る。

ハイエンドとカオスクルセイダーが噛み合った様な感覚がした直後にハイエンドを一気に引き抜いて逆袈裟に振るう。


闇によって抑えこまれた光は解放された事で巨大な光の斬撃となってオヅマ軍の黄泉兵に迫る、黄泉兵達を一瞬で斬り裂いていく光はその直線上にいた指揮官にまで届いた。


一瞬の静寂、口から一筋の血を流した指揮官の身体は腰から肩が斜めにズレていき、斬られた上半身が地面に落ちる音が周囲に響いた。


突然の事に動けずにいたオヅマ軍の左右を土壁が並んで塞ぐ、その直後に左右の土壁を飛び上がるアリアとシュリンが風と焔をオヅマ軍に向けて放った。


オヅマ軍の中央に放たれた焔は風によって荒れ狂いながら黄泉兵達に襲い掛かる、土壁によって逃げ道のなくなった黄泉兵達は迫る焔に総崩れとなり、人間の兵は突然の事態にまだ混乱していた。


ガルマを召喚して跨がりながらオヅマ軍に刀を向ける、風に声を乗せて叫びながらガルマを走らせた。


「全軍、突撃!」


俺の言葉にゴモンの兵達が続いた……。

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