表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
228/367

20:壮年の騎士の評価(帝国side)


「ほら、王手ですぞ」


ミルドレアの帝都にある砂陣騎士ロスフォールの屋敷、その一室で二人の壮年の騎士……ボルガとロスフォールが戦戯盤(ウォーボード)というロスフォール手製のゲームをしていた。


ゲームと言っても様々な地形と多種多様な役割を与えられる駒を使って行うそれは戦での作戦立案にも動きの想定でも使える造りで戦戯盤の盤面や駒を作るのはロスフォールの楽しみのひとつでもある。


「ま、待った」


「待ったは三度までですぞ、それにベルク殿であれば私とやる時は戦場で待ったはないと一度も使ってません」


「む、むう……参った」


ボルガは頭を掻きながら降参する、ロスフォールは温くなった紅茶を飲みながら呟いた。


「戦場ならば獣の如き勘で危険を察知できるのに戦戯盤となると途端に発揮されませんねぇ……貴方と付き合いは長いですがそれが分からない」


「言うな、それにしてもベルク殿ともやっているのか」


「ええ、最近では私でも唸ってしまう一手を打ってきますのでやりごたえがある」


戦戯盤は実際の戦場を想定したもの故に遊べる者が少ない、ボルガを除くと相手となれるのはランディル以外の称号騎士だが彼等も忙しい身だから中々誘えず、ロスフォールの団でもやれるのは数人ほどしかいなかった。


親交を深める為にベルクを誘ってみたところ、今ではロスフォールの相手を務められるくらいになっていた。


「となると使う駒は黒嵐騎士団か?」


「いえ、私も駒を作ったのですがベルク殿が数度使ったところでこれだと戦略性に欠けると最近は私と同じ持ち駒でやってますよ。


……その上で唸る一手を打たれてるのです」


「なんと……」


ボルガは思わず呟く、ロスフォールは巧みな軍略や戦術を実行に移し実現させる戦術家としての能力で称号を得た男だ。


その男と同じ条件で唸らせるほどの一手を打つ、おべっかや忖度を嫌うロスフォールにそう言わせる時点でベルクは個人だけでなく将としての戦才があるのだ。


「今頃はヒヅチで戦っているのでしょうな、叶うのならばこの眼で見てみたかったですな」


「確かにベルク殿の実戦での采配は気になるところだがお主がそこまで言わせるほどか」


ボルガがそう言うとロスフォールは紅茶を飲み干してポツリと呟いた。


「考えてみなさい、ベルク殿は黒嵐騎士団を戦戯盤では意図的に使わずにいるのに私の相手をできるのです。


……ですが実戦となればベルク殿は黒嵐騎士団の力を遺憾なく発揮するでしょう、そこに彼の策を実行に移せる軍が加われば」


ロスフォールの呟きにボルガはぶるりと背が震えた。


「それこそベルク殿に匹敵する相手がいなければ一方的な蹂躙となるでしょうな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ