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19:最初の戦


「ベルク様!」


ゴモンに来てから三日ほど経ち、兵達に加わって鍛練しているとヒノワとアメリが慌てた様子で俺を呼んでいた。


「どうした?」


「オヅマの兵が進軍してきています!報告によると数は五千、お母様によればその内の四千は黄泉の兵との事です!」


告げられた報告に兵達も息を呑む気配が伝わる、ゴモンの兵は全て合わせて六千いるがまともにぶつければ甚大な被害が出るだろう。


「敵軍の位置と進行速度は分かるか?」


「この地図を見てください、この国境にある砦に二日ほどで着くとの事です」


「アリアとシュリンは?」


「既に偵察に赴いています、ベルク様が来るまでは偵察に徹するとの事です」


地図を見ながら頭の中で算段を立てる、この三日の間にシュリンが周辺を調べてくれたお陰でより作戦を立てやすくなった。


「分かった、ライゴウ殿、戦の準備はどれくらい掛かりますか?」


「三十分もあれば城内の全員が出陣できます」


「砦の兵数は?」


「それなりの規模の造りで百人ほど常駐しております、最大ですと二百が限度ですな」


儂なら二千ほどの兵で地の利を利用して撃退しますと地図に指を指してライゴウは付け加えた。


「……なら」


思い浮かんだ作戦をライゴウに話すと彼は顎に手を添えながら考える、一抹の不安を捨てきれないと言った表情だ。


「そんな事が可能なのですか?」


「不安でしたら軍の編成はライゴウ殿にお任せします、もし私の策が失敗した時はライゴウ殿の策に切り替えましょう」


「……分かりました、ではすぐさま準備に掛かります」


ライゴウはそう言って兵に号令を掛けると兵達はすぐさま動き出す。


俺達もすぐに準備の為に動くとヒノワとアメリが後を追うようについてくる。


「まさか共に来るのか?」


「はい、お母様から貴方についていく様に命じられましたので」


「……当主の決定です」


「分かった、なら移動しながらやれる事を教えてくれ」


こうして俺達は二千の兵と共にヒヅチでの最初の戦へと赴いた……。








―――――


(アメリside)


今でも夢を見る。


父様に剣を教えてもらい、共に剣を振って筋が良いと頭を撫でてもらった日々を。


それが突如として奪われた日に胸に抱いた(にくしみ)が私を動かしている。


父様の仇と……オヅマと戦う為により激しい鍛練を続けてきた。


そして母様から姉様と共に行くように言われた時は密かに拳を握る力が強くなった。


(でも……)


目の前で漆黒の馬を駆るベルクとラクルという外の国から来た者を見る。


どちらも強いというのは分かる、だけど結局は余所者に過ぎない彼等が力を貸す事に私は疑念を抱いていた。


(どうして姉様も母様も……)


彼等の武勲や功績は私だって耳にした、だけど噂は噂で彼等が信用に値するという証明にはならない。


彼等が家族に危害を加えようとしたならば……。


(その時は私が……)


腰に差した刀に振れながら私は人知れず警戒を強めた。

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