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16:三種の神器


「当主を務めるアマネ=ゴモンと申します、カムツヒとザンマの貸与だけでなく我が国への助力ありがとうごさいます」


アマネはそう言うとヒノワ以上に洗練された所作で礼を行う、思わず見惚れてしまいそうになるが気を取り直して俺達も挨拶を返した。


「ベルク=リーシュ=ミルドレア、陛下の命により此度の争乱においてゴモンに助力致します」


アリア達も続けて挨拶する、そして促されるまま座ると本題に入る事にした。


「ヒノワからある程度の事は聞いています、ですが今回の件を解決する為にも詳細をお聞きしたい」


「ええ、少々長くなってしまいますがお話しましょう」


そう言うとアマネは胸元の勾玉に触れながら話し始めた。


「私達の祖先はこのツクヨを含めた三種の神器を用いてかつて黄泉の門を封じました。

そして何者かが黄泉の門が再び顕現させようとしている事、ヒューム大陸で起きている異変を感知できたのもツクヨの力の一端です」


アマネは儚い光を宿した眼で俺を見る、視線を向けられてはいるが不思議と身構えたり不快には感じなかった。


「カムツヒは増幅、ザンマは重量操作……そしてツクヨが持つ能力は共鳴です」


「共鳴……」


「かつて黄泉の門が現れた際はザンマによって地中深くへと閉じ込め、ツクヨが封印の術をカムツヒと共鳴させて増幅する事で封印したそうです。

そしてヒューム大陸の状況を把握できたのはこの共鳴の応用によるものです」


「海を隔てていても感知が出来ると?」


「いえ、共鳴するには私かツクヨのどちらかに強い縁があるか共鳴する相手を知っていなければなりません。

私が今回共鳴できたのはカムツヒとザンマ……そしてベルク殿でした」


「何?ですが俺と貴方は初対面……」


そこまで言い掛けて気付く、確かに会うのは初めてだが少なくとも向こうは俺を知っているのだ。


一年前に俺とイル・イーターが戦っている姿をアリア達によって世界中に見られているのだから。


「国の為とは言え、同意も得ずに貴方を利用した事は謝らせてください。

そして厚かましい願いだとは承知の上でお願いいたします……どうかヒヅチを救う為に力を貸してもらえないでしょうか?」


そう言って再び頭を下げるアマネを見ながら考える。アマネの言う事が事実だとすれば彼女は俺を使って諜報を行っていたという事になる。


普通に考えれば外交問題になり得る事だ、正直に話すよりはそこだけ上手く誤魔化して波風立てず協力してもらう方が良かっただろう。


……だが彼女は隠す事なく謝罪した。それは彼女なりの誠意の示し方と捉えられる。


「立場上、貴方の行いを軽率に許すとは言えません……。

故にこの件に関しては保留とし、まずはヒヅチの厄災を退けてからと考えていますがどうでしょうか?」


俺の提案にアマネは真っ直ぐと俺を見ながら答える。


「ありがとうごさいます、ベルク殿」

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