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14:血潮の歓迎


(ひとまず五人か)


黒装束の者達……忍と呼ばれるヒヅチの暗殺者が黒塗りの小刀を握る。


「ラクル、右側は俺がやるから左側を頼む」


「真ん中は?」


「早い者勝ちってのはどうだ?」


「なるほど、乗った」


左右に分かれて襲い掛かる忍達と対峙する、右から振るわれた小刀を剣で受け止めると反対側から小刀が迫る。


白亜の篭手を左腕に纏って小刀を持つ手を掴む、右の忍を蹴り飛ばして左の忍の腕を斬り落とすと頭巾の隙間にある眼に斬り落とした腕ごと小刀を突き刺す。


黒い血と煙を散らしながら崩れ落ちる忍を殴り飛ばす、その直後に蹴り飛ばした忍が戻ってきて小刀を振るう。


「気を付けろ、こいつら武器に毒を塗ってる!」


「ああ!それに魔術の発動にかなり敏感だ!」


忍を振るう小刀を避けて腕を掴む、掴んだ腕を背面に捻り上げて白亜の篭手に力を込めて背中から貫く。


(こっちに来たか!)


三人目の忍が俺に向けて飛び掛かる、転がって俺にのし掛かる忍が小刀を突き立てようとする忍の手首を掴み袖に仕込んでいた筒を取り出して忍の顎に当てる。


「“着火(イグニッション)”」


筒の中に詰めた火薬が火によって炸裂する、込められた弾が忍の脳天を突き破った。


煙を上げて痙攣する忍を突き飛ばして起き上がるとラクルも二人目を斬り倒したところだった。



するとヒノワがいる桟橋に向けて二人の忍が海から飛び出す、小刀を手にヒノワに迫るがセレナの水の障壁が忍を遮り再び宙に身を任せた忍の一人をアリアの焔の刃が焼き斬り、もう一人をシュリンの樹木の矢が貫いて海に落とした。


「これで七か」


魔石になっていく忍達を見ながら俺がそう言うと港に静寂が戻った。







―――――


港の常駐する為の兵舎を調べると至るところで兵士や船乗りが事切れていた。


血や死体の状態からして俺達が着く直前に殺さている、各所にある血の跡からして死体を隠してる途中で着いた事で血の臭いを誤魔化す事も出来なかったのだろう。


「一人は生け捕りにした方が良かったか?」


「魔物相手に聞き出せたかと言われると厳しいところだが……少なくともこの襲撃を画策したのは人間だな」


死体を外に運びながら忍達が使っていた小刀を見る、刃は毒が塗られて鈍く光っていた。


「魔物は倒されると基本的に持ってる武器や衣服消滅する、だがこれが残ってるという事は考えられるのはひとつだ」


「奴等を使役する者がヒノワ達を殺す為に用意した……という事か」


「ああ、だが問題はこいつらが此処にいたので全てなのかどうかだな」


ヒノワ達に聞くと忍の魔物は見聞きするのも初めてだと言っていた、先日襲撃された時も襲撃してきたのは人間だったと言う。


だとするとこの魔物はそれまで使わなかったのか、それとも使えなかったのか……現時点では結論は出せなかった。


「なんにせよ、思った以上に厄介な事になりそうだ」


俺の言葉にラクルは深く頷いた。

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