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7:ヒノワ


「ヴィクトリア皇帝陛下よりヒノワ様達の送迎の任を承りましたベルク=リーシュ=ミルドレアと申します、名を知って頂き光栄です」


流麗な仕草に感心しながらも挨拶を返す、アリア達も続いて挨拶していくと促されて対面する形で座る。


畳という独特の匂いがする床に座布団というクッションが用意されており、それに座りながら気配を感じ取る。


(……上に一人、下と隣に二人ずつか、かなりの練度だな)


ヒノワの隣に立つ剣士もかなりの腕の様だが隠れている者達も気配の殺し方からして相当な腕の持ち主だ、それとなく隠れている方に目線をやるとヒノワがゆっくりと答えた。


「彼等もリンと同じ私の護衛です、皆様に危害を加える為に隠れている訳ではありませんが気分を害されたのなら謝罪いたします」


「いえ、ゴモンには優秀な人々がいると感心しただけです。

ただ陛下との対談の際は控えて頂く様にお願いします、陛下も私も使者として来た貴方を傷つけさせる事は決してしないと誓いましょう」


「ええ、その様に致します」


気付かれた事に動揺も見せず応じるか、兄貴からある程度の事は聞いてはいたが少なくともお飾りの姫という訳ではないというのは確かな様だ。


それからヴィクトリアから許されている範囲でカムツヒとザンマがヒューム大陸に渡った経緯を話す、そしてザンマは既に担い手が居り、カムツヒも貴重な物として厳重に扱われている事を説明した。


話を聞き終えたヒノワはラクルと傍らに置かれたザンマを見ながら話し出した。


「そうですか……ザンマは貴方を担い手に選んだのですね」


「はい、ガンザ殿から最期の言葉と共に託されました」


「そうですか……」


ヒノワは少しの間だけ目を閉じて考える、そして俺を見て言葉を紡いだ。


「皆様もお疲れでしょう、出発は明日にしてひとまず休んでください。


何故私達がカムツヒとザンマを求めるのかは帝都に向かう道中でお話させていただければと思うのですがどうでしょうか?」


「御気遣いありがとうございます、それでは御言葉に甘えさせていただきます」


互いに頭を下げて部屋を後にする、と言っても俺達もすぐ近くの部屋で泊まり俺とシュリンが交代で警戒をする予定だが。


「ベルク様、最後にひとつだけ聞いてもよろしいでしょうか?」


「なんでしょうか?」


「見当違いでしたら申し訳ありませんが……ベルク様はヒヅチに縁者がいるのでしょうか?」


突然の問いに頭を働かせる、その問いがどんな意味を持つのか自分の立場や状況からどう答えるべきか考えるが正直に答えても問題ないかと判断して答えた。


「……私を生んだ母の祖先はヒヅチの出身だと聞いた事があります」


「……その母方様は」


「俺を生んで亡くなりました」


「……出過ぎた事を聞いてしまい申し訳ありません」


お気になさらず、そう言い残して部屋を後にした。

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