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5:相談


王都に着くと連絡を受けていた騎士達が俺達を出迎える、城の一室で休んでいると兄貴と騎士団長、ラクルが入ってきた。


「まずはお疲れ様、ベルク」


「兄貴もな、無理はしてないか?」


「今は大丈夫だよ、まあ私もあの資料の研究をしたくてウズウズしてるのが本音だけどね」


兄貴が言う資料とはエルフォードが残した研究資料の事だ、信頼できる兄貴とフィリアに見てもらったところフィリアは突っ伏して「私も行けば良かった!」と本気で嘆き、兄貴も是非とも会ってみたかったと呟いた。


現在は閲覧できるのは兄貴とフィリアだけにしており、フィリアは文字通り時間を忘れて没頭するほどに研究を続けて兄貴も時間を作っては読み進めている。


「そう言えばフィリアは……」

 

「う―んとね……通信の後にベッドの中で研究してるのがバレてテレジアが休ませる為に監視してるところなんだ」


「何してるのお姉ちゃん……」


アリアが思わず頭を抱えてしまう、俺も呆れてしまうがフィリアらしいとも思い兄貴達に事の顛末と相談を始めた。


兄貴達は話を聞いて少し考える、そして頷きながら答えてくれた。


「力ずくで奪おうとする可能性は低いと思うよ、それだけの情報を得れるならベルクを筆頭に帝国の強さを知っていてもおかしくはない。


ましてやカムツヒやザンマが王国にあるにも関わらず港街に待機してるのはその情報を掴めてない……つまり彼等は情報を限定したものしか得られていない」


「情報を得てから奪おうとは……しないか」


「ヒヅチの情勢から考えるとそうだね、私なら帝国を相手にレアドロップをふたつ奪える者がいるならヒヅチで動いてもらうよ」


こうして話すとやはり兄貴の存在は大きい、より大局で、より相手の視点に立った考えを聞く事で自分達がどう動くべきか決まりやすくなっていく。


「ではゴモンが求めてるのは真っ当な交渉なのでしょうか?」


「おそらくは、ただでさえヒヅチで争っている時に補給の要になり得るヒューム大陸との交易を失いたくはない筈。


その危険性を押してカムツヒとザンマの返還を求めてきたという事はそれだけ逼迫した状況だという事……下手を打って長引かせたくはないと思う」


「……少し頭が痛くなってきたな」


兄貴がまとめてくれてはいるが国同士の話となると考えなきゃならない事が多すぎる、俺の様子を見て苦笑した兄貴はもう少しだからと話を続けた。


「ひとまず使者が逗留している港街から情報を集めておいたけど人と積み荷の量から考えると交渉したいのは確かだろうから普通に迎えに行けば良いんじゃないかな」


「人か……そう言えば交渉に来たのは誰なんだ?」


「ゴモンの情勢はあまり流れてこないから詳細を掴めている訳ではないんだ、だけど名前からして間違いないとは思う」


兄貴はそう言って交渉に来た者の名前を教えてくれた。


「ヒノワ=ゴモン……ゴモン当主の長女で術師としての力量は相当なものだと聞いている」

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