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207:道


「太陽が眩しい….」


四人を抱いた後に少しだけ寝れたが窓から差す光を腕で遮る、寝続けるのも性に合わないのでアリア達を起こさない様にベッドから降りるとシャワーを浴びた。


後から起きてきたアリア達もシャワーを浴びてから身支度を済ませると一緒に朝食を取る事にした。


「それで、いつ出発するの?」


「そうだな…タグを受け取るまで時間はあるからその間に消耗品を補充しに行って受け取ったらすぐに出ようと思うがどうだ?」


俺の案にアリアとセレナは頷き、シュリンは寝惚け眼で舟を漕ぎながらもパンをモソモソと食べていた。


「…ひとまずちゃんと食ってからの方が良さそうだな」


「昨日は頑張ってたからね…」


シュリンの様子に二人は微笑みながらも世話をしながら朝食を終わらせた。








―――――


出発の準備を終えて冒険者ギルドに向かうとギルドマスターは帝国への書状と…白金の冒険者タグを渡してくれた。


「ギルドマスターになってから長くなるけど…こうして二人目の白金級冒険者誕生の歴史的瞬間に立ち会えた事に年甲斐もなくワクワクしてるよ」


「俺も白金級になれるだなんて思ってませんでしたよ」


受け取ったタグは白い輝きを放っていた、精緻な彫刻が施されているタグには俺の名がしっかりと刻んであった。


「ベルク君」


後にしようとした俺をギルドマスターが呼ぶ、ギルドマスターは俺をまっすぐ見て続けた。


「冒険者には出自も血筋も関係ない、必要なのはその者自身の能力と人格だ。


だから君が冒険者としている限り我々はこれからも一人の冒険者として扱わせて貰うよ」


「ギルドマスター…」


ギルドマスターはそう言うとふっと笑った。


「また来てくれたまえ、君の冒険を楽しみにしているよ」


「…期待に応えられる様にはします」


頭を下げて俺は冒険者ギルドを後にした…。










―――――


ウォークリアを出発する、ガルマの蹄を鳴らしながら歩く音を聞きながら俺は首に下げたタグを手に取って見ていた。


「どうしたの?」


「ああ、いや…」


アリアが馬車から御者台の隣に移って聞いてくる、少し横にズレてスペースを作りながら答えた。


「…ロウドはこれを受け取った時、どう思ってたんだろうなって考えててな」


ハインルベリエで初めて会った時、ロウドは自身のタグを首に下げていた。


周囲の勝手な声と先の見えない停滞に絶望していたロウドがその象徴とも言える白金の冒険者タグを捨てていなかった…。


「…考えてみればなんでかしらね、ベルクは分かるの?」


「…今となっては俺も確信はないが」


腰のハイエンドに触れながら考える、そして自分がその立場ならと考えて口にした。


「冒険者にだけは期待していたのかもな」


「期待?」


「冒険者は自分の命を懸けて望むものを得ようとする、ロウドも自分が冒険者だったから…冒険者がどんなものかは理解していた」


「…」


「だから無意識にでも思ってたのかも知れない、自分と同じ強くなる事を望んで…その先を進もうとする奴が現れるのを」


「それがベルクだったって訳?」


「どうだろうな、今となっては分からない」


それでも思う、ハイエンドが俺を選んだのはロウドが俺に…自分が進めなかった先を見る事を託してくれたからじゃないかと。


(ロウド…)


手綱を握りながら改めて別れを告げる、俺が憧れた冒険者に…。


(俺は俺の道を往く、アンタが進めなかった先…アンタが見れなかった限界の果てまで)


俺の道はまだ終わらない。

読んで頂きありがとうございました。

もしかしたらまた続きを書いたりするかも知れませんが本編はこれで一区切りとさせて頂きます。



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[一言] 逝く先々で助っ人として娼婦数人雇わんとアカンとちゃうか?
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