206:休息
「白金級…俺がですか?」
「ああ、私達がすぐに対抗できたのはアリア君達の声とあの強大な魔神に立ち向かう君の姿が見えたからだ。
それはこの街だけでなくグルシオ大陸の至るところから報告されている」
ギルドマスターはそう言いながら俺達を見た。
「君達が成し遂げたのは文字通り世界を救うという功績だ、かのロウド=ソリタスを超えると言っても過言ではない。
本来はアリア君達も昇格させたいのだがやはり戦う姿を見せたベルク君の印象がかなり強くてね…」
「…ロウドを超える、か」
ギルドマスターの言葉にどことなく感慨深いものを感じながら考える、確かに俺はイル・イーターとロウドを倒せたがそれは俺だけの力ではない。
アリア達が支えてくれなければ出来なかった、独りだったらロウドどころかイル・イーターと戦えていたかすら分からない。
「別に受けても良いんじゃない?私はもう階級とかに興味はないし」
「私も冒険者の階級はそこまで…」
「どうでも良い」
俺の考えてる事を察したのかアリア達が背中を押す、それを聞いて考えを決めた俺はギルドマスターに向き直った。
「謹んでお受けします」
「ああ、ではタグの製作をしているから一日だけ待ってくれないかな?」
「…タグにそこまで時間が掛かりますか?」
冒険者のタグは確かに特殊な加工が施されるが登録や昇級の際に毎回造られているものである故に十数分くらいで出来る筈なのだが…。
「実を言うとね…二度と造られる事がないと思われていた白金級のタグという事でタグ職人達がこぞって自分が造りたいと言ってきてね…。
先程その選抜が終わったところなんだが偽造防止の為にも持てる技術を注ぎ込みたいとの事でそれくらい掛かるそうなんだ」
「…職人魂、というものですか」
「彼等も仕事に誇りを持ってやっているからね、宿等は手配してあるのだがどうだろうか?」
「分かりました、今日はゆっくりさせていただきます」
どことなく申し訳なさそうにしながら聞いてくるギルドマスターの配慮を無下にするほどの事ではないので応じる事にした。
―――――
「腹が減ったな…」
ギルドを後にして強烈な空腹に襲われる、三日も寝ていたせいか今ならなんでも食べれそうだ。
「ならもう宿に行っちゃう?ベルクも起きたばかりだし帰る準備とかは明日にしちゃいましょう」
「そうですね、この街は被害が他より少ないのもあってお店とかもやっていますから何か買うなり宿で食べても良いでしょうし」
「私もお腹空いた」
「ならそうするか…って」
四人で手配された宿はウォークリアでも一番高級な宿だった、以前は比較的安い宿で済ませていたので些か躊躇ってしまう。
「まあ、それくらいの事をしたって事で良いんじゃない?」
「あはは…」
「…ひとまず飯を食って休もう」
そうして宿に入って久方ぶりのゆっくりとした食事や時間を過ごした…。
―――――
「あ、はうっ…」
アリアが身体を震わせながら俺の背中に爪を立てる、その痛みすら昂らせる要素となって一際強く奥を突くとアリアは力が尽きたようにベッドに崩れ落ちた。
傍にはセレナとシュリンも汗を浮かべて横になっており三人が裸で並んでいる光景が本能を更に滾らせる。
「くふふ、死線を超えた事で更に強壮になってきたのう」
「…喜んで良いのかそれは?」
「喜ぶべきであろう、雄としてより魅力的になってきたという事なのだから」
そう言いながらルスクディーテは俺に抱きついてくる、蠱惑的な笑みを浮かべながら俺を見つめてきた。
「さて、アリア達が起きるまでは我が相手をしよう…最強の雄の精、やはり直接交わって得なくてはな」
「…休むんじゃなかったか?」
そう言いながらも俺は四人を抱き、気がついた時には空が白くなっていた…。