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202:決闘


(アリアside)


空を覆っていた使徒達が一斉に消滅していく、その光景に呆気に取られていたが重々しく座り込む音に気を取り直すとブラストペインがボロボロの体で座っていた。


「…イル・イーターが滅びた、俺の使命もようやく終わったのだ」


ブラストペインの体が少しずつ崩れていく、だがその顔はひどく穏やかに見えた。


アリアはブラストペインを見上げながら言葉を紡ぐ、一人の戦士としての敬意を抱いて。


「ブラストペイン、ありがとう…貴方がいなければ私達はやらなきゃならない事をやれなかったと思うわ」


「構わん、俺は俺のやるべき事をやり、お前達はお前達のやるべき事をやっただけに過ぎん」


ブラストペインは崩れ落ちるのも厭わず“天へ挑んだ塔”があった方を向き直ると遠い眼をして見つめた。


「俺達は創造者達によって造られたものだ、だがそれでも俺達に魂があるのならば…あの世で…同胞達と…」


ブラストペインの眼から光が消える、体は崩れ落ちていき残るのは残骸だけとなった。


自然と三人で祈る、そして私はハッとして呟いた。


「…ベルク?」










―――――


(ベルクside)


蹄と爪が大地を蹴る音が響き渡る、互いの存在を視界に捉えながら手綱を操る。


横に並んだロウドが横薙ぎに振るう槍を屈んで避ける、反撃で斧槍(ハルバード)を突き出して避けられるが穂先の向きを変えて斧刃で薙ぎ払う。


ロウドは斧刃を倒れる様に仰け反って避けると槍を振り下ろす、斧槍で受け止め、逸らしながら再び突き込む。


互いの騎馬が更に距離を詰めると竜馬が牙の並んだ顎を開いてガルマに喰らいつこうとする、ガルマは首を振るって顎から逃れると首を振るった勢いで鞭の様に頭を叩きつけた。


ガルマの頭突きに揺らいだ竜馬と距離が空いた瞬間に斧槍から剣に変える、ロウドも再び竜馬を寄せながら剣を手にした。


漆黒の剣と白亜の剣が甲高い音を響かせ火花を散らしながら交差する、幾度か刃が行き交うと鍔迫り合いとなった。


「強いな…これだけの力があれば世界中のダンジョン全てを踏破する事だって出来ただろうに!」


「勿体無いな…貴様の力と才ならば、誰も辿り着けないであろう最強へ到った存在として名を刻めるだろうに!」


地割れが起きて鍔迫り合いが解かれる、互いに向かい合うとガルマと竜馬が前脚を上げてぶつけ合った。


「くっ!」


蹄と爪をぶつけ合った衝撃で互いにふき飛ぶ、顔を上げた瞬間ロウドの姿が消えていた。


(上か!)


見上げるとロウドが剣に光を宿しながら落ちてくる、ハインルベリエを破壊したあの技だと気付くが既に避ける余裕はない。


「ガルマ!?」


ガルマが嘶きを上げながら俺を振り落とす、ふりされた事で直撃を逃れた俺は翼を展開して余波から逃れた。


巻き起こった土煙から翼を拡げたロウドが飛び出す、空中で互いに剣を交差させながら墜落する様に地面に転がり落ちた。


片膝をつくロウドの顔を殴り飛ばす、たたらを踏んだロウドの腹に更に拳を打ち込むがロウドはそのまま俺を殴り返した。


拳を握り締めたロウドが交互に腕を振るう、体の芯まで届く衝撃に歯を食い縛りながら殴り返す。


拳を顔面で受けたロウドは俺の腕を掴んで勢いのまま地面に叩きつける、肺の中の空気を一気に吐き出してしまった隙にロウドは馬乗りになって拳を振り下ろす。


唸りを上げる拳を首を捻って避ける、地面が抉れる音を聞きながら何度も振り下ろされる拳をなんとかいなしながらロウドの背中に膝を当てた。


膝から剣を飛び出る様に展開させる、背中から剣で突かれたロウドは前に転がる様にして俺の上からどいた。


互いに息を切らしながら睨み合う、そして剣を手にして構えた。


「俺の力は俺の為だけにあるんじゃない」


俺は切先に闇を集中させる、ロウドも剣に光を宿すと互いの視線を交差させながら駆け出した。


「この力は戦う力を持てなくても懸命に生きる者達の為に!俺の大切で、俺を大切にしてくれる人達の為に!」


ロウドの白亜に輝く剣が突き出される、全ての想いを乗せた剣を叫びと共に繰り出した。


「そして…アンタを止める為に!」


血が舞って地面に落ちる、白亜の刃が鎧を斬り裂いて俺の血で赤く染まっていった。


「くっ…」


「…」


漆黒の刃が白亜の鎧を穿ちロウドの心臓を貫いていた…。

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