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186:激突


(アリアside)


階段を駆け上がり次の階層へと走る、最上層は下と同じく白い神殿の様な造りに精緻な壁画が彫られていたけど魔物が現れる気配は一切ない。


その理由はそこかしこで転がっている魔石で理解した、この階層の魔物はロウドによって既に倒されているのだと。


「本当に戦う事しか考えてないのね…」


先へ進みながら考える、ロウドは決して力だけの乱暴者という訳ではない。


必要とあらば策を行使する理知的な思考、即座に魔術や技の構成を見抜く観察眼、最適な動きを実現させる技倆…どれを取っても戦いに身を置く者ならロウドがどれだけ高い次元にいるのかが分かる。


これだけの力があれば私達を倒す事も可能だった、だけどロウドはベルクと対等な戦いをする為に最上階にいるというアドバンテージを捨ててきた。


全ては戦う為だけに…。


(…考えてる暇はない!)


思うところがないと言えば嘘になる、だけど此処で負ければ全てが失われる。


ベルクは任せろと言ったのだ、なら私達は私達のやるべき事をやらなきゃならない。


それが信頼に応えるという事だから…。








―――――


(ベルクside)


幾度も剣をぶつけ合って壁際まで下がる、間髪入れずにロウドが突き出してきた剣を受け流して壁へと突き刺すが…。


「ぬ…ああっ!」


ロウドは壁ごと斬り裂いて薙ぎ払う、転がる様に避けると鉄靴の底が目前に迫った。


「ぐっ!?」


間に手を挟んで受ける、蹴りの衝撃で再び転がる俺にロウドは迫るが勢いが弱まると同時に(クロスボウ)を射つ。


「むっ!?」


ロウドは飛来する矢を掴み取る、だがその瞬間に矢から発せられた黒い雷がロウドの手を弾いた。


生まれた隙を突いてロウドの鳩尾を殴る、風を纏った拳は突風となって瓦礫を巻き込みながらロウドを吹き飛ばした。


すかさず壁に激突したロウドに迫って闇を纏った剣で斬りつけると甲高い音と共に防がれた。


ロウドの手甲が光を帯びた白亜の腕となる、鱗の生えた竜の腕の様に変質した手甲で剣を弾かれると光を伴った衝撃波が襲い掛かった。


闇を纏った剣で衝撃波を受けながら闇を更に強くする、嵐の如く渦巻く闇を纏った剣を着地と同時に振りかぶった。


「“黒刃(ストーム)…”」


それに応える様にロウドも剣に光を宿す、構えた剣からは暴力的なまで凄まじい力と光が込められているのが分かる。


「“嵐舞(ブリンガー)”!」


「“天裂竜爪(リンドブルム)”!」


闇の嵐と光の奔流がぶつかり合う、闇が光を切り裂き、光が闇を呑み込んでいく異様な光景はすぐに終わりを迎えて凄まじい爆風と共に瓦礫を巻き上げ吹き飛んだ。


床に剣を突き刺して耐えると風が止んだ直後にロウドが襲い掛かる、力が入った影響が打ち合った互いの剣が宙を舞った。


ほぼ同時に相手へ拳を打ち込む、拳と拳がぶつかって手四つの様な体勢になるがすぐに放して息を吐く間もなく拳と脚が交差した。


互いに弾かれる様に離れた瞬間に剣を手にして鍔迫り合いになる、刃が擦れる度に火花が散った。


「やはり戦いとはこうでなくてはな…」


ロウドはそう言って心の底から沸き上がるかの様に笑った…。

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