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182:法と裁定を遵守する域


エレベーターの扉が開いたので降りると下とはまた異なる様相となっていた。


造りは最初の階層の様に精緻な装飾と純白で彩られた神殿を思わせるものだ、唯一違う点は装飾や彫刻は剣と天秤を持つ天使や並んでいる様々な人々が彫られており厳格な雰囲気を醸し出している。


警戒しながら通路を進むとほどなくして扉に辿り着く、扉はこれまでとは違って古代文字が欠けており文章というより単語の羅列とでも言うべきものになっていた。


「火…命…罪…贖罪?罰?」


下の階層にある古代文字よりも更に古いか難解な文字を扉の彫刻の内容等から推察する、彫刻には火を持った者を囲む様に天使達とその背後に炎を纏った天使が彫られていた。


「どう?」


「…かなり解読しづらいが火に関する事だな」


ちゃんとした学者ならばこの彫刻と古代文字から正しい推察が出来るのだろうが俺はある程度読めるだけであって専門という訳ではない。


調査の依頼を受けた際にも解釈が難しいものは正確に書き写してギルドに提出するという形を取っていたのだがもう少し学んでおけば良かったと軽く悔やむ。


「…恐らくだがこの部屋の魔物が火属性かそういった魔術を使うんだろう、ひとまずは戦ってみてそこから考察するしかない」


このまま考えても答えが出る訳ではないと判断して扉を開ける、円形の部屋にはところどころに崩れた柵や長椅子だったものがあり一見すると集会場を思わせた。


半ばまで進むと上から槍が降ってくる、槍を避けると上から魔物達が姿を現した。


それは全身鎧を纏った八体の天使だった、手には槍と円盾を持っており翼を広げて俺達を見下ろしていた。


「彫刻の通りか」


全員が構えると一体が槍を構えながら急降下してくる、それに続く様に他の天使達も別々の軌道で急降下してきた。


「“天涙盾群(ティアーファランクス)”!」


急降下してきた半分はセレナの展開した水盾によって阻まれるが後続の四体は水盾を避けて突撃してくるのを俺とアリアが応戦する。


大盾と槍を合わせた杭盾(パイルシールド)を床に突き刺して正面から来た天使を止めると真上から迫った天使が突き出す槍を手甲で受け流しながら頬を打ち抜く、面頬越しに殴られた天使はすぐ横に落ちるが怯む様子もなく立ち上がろうとしていた。


「こ…っのぉ!」


二体の天使と戦っていたアリアが焔を纏った剣を真一文字に振るって二体を腰から両断する。


すると槌を叩く様な音が響き渡り、天使達は斬られた者も含めて一斉に集まると姿を変えていった。


「な…」


瞬く間に融合した天使は一体の巨大な天使になる、荘厳な鎧に身を包み、燃え盛る棍棒と古代文字が刻まれた大盾にはこう書かれていた。


“火を以て命を奪いし罪人、焔の罰を以て贖罪とする”


「…そういう事か」


刻まれた文字と今起きた事からこの階層の仕組みを理解した…。

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