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180:創造者の時代


ブラストペインの後をついていくと何の変哲もない壁で立ち止まる、杖で数回叩くと壁が変形していき通路が現れた。


ズカズカと進むブラストペインに続いて入ると壁が閉じて中に明かりが灯る、中はかなり広い部屋で天井が一層分高く壁には見た事のない装置があった。


だが何よりも眼を引くのは床に散らばったガードマシンに似た残骸だった、百以上はありそうな残骸がそこかしこに散らばっており再び動く事はもうないだろう。


「これは…」


「同胞達だ」


ブラストペインは部屋の奥で腰を下ろしながら答える、そして残骸から装甲を外して自らに着け直していった。


「本来はより多くの同胞達がいたが破壊された時に塔に吸収された、此処にあるのは俺が回収できたものだけだ」


装甲の付きが良くないのかブラストペインは何度も着け直した箇所を動かす、その時に魔力が動くのを見て俺はバッグから持っていた魔石を差し出した。


「む?」


「良ければ使ってくれ」


「…」


バッグはかなりの量を収納できるが上限はある、余るであろう魔石を差し出すとブラストペインは少しだけ沈黙するが魔石を取って口に放り込んでいった。


魔石を噛み砕く音を響かせながら体を動かすと装甲が定着した様だ、心なしか全体的に身体が締まった様にも見える。


「これだけの魔力を補給するのは久しぶりだ、これに関しては礼を言おう」


「構わない、それよりもこの塔やアンタに起きた事を聞いて良いか?」


俺が聞くとブラストペインは顔をしかめながらも過去を思い出す様に話し始めた。


「どれだけ前であったかもはや覚えておらん、だが途方もない昔この地には多くの生命に溢れていた。

俺達の創造者達である人間を始めエルフ、ドワーフ、ウェアビースト…時に争い、時に手を取り合いながら生きてきた時代があったのだ」


「そんな時代が…」


「…」


「だがその時代も終わりを迎えた、奴が現れた事によってな!」


「奴?」


ブラストペインは杖を突きながら忌々しそうに言い放つ、言葉だけでも相当な怒りを感じ取れた。


「奴は種族間で争いが起ころうとした時に突如として現れて暴れ出した!エルフの森も!ドワーフの山も!人間達の街も破滅を迎え命は喰われていった!」


「喰われた?誰にだ?」


「詳しくは分からん!だが創造者達は奴の事を魔神“イル・イーター”と呼んでいた!」


“イル・イーター”…直訳すると“照らし喰らう者”となるがそれによって古代の文明は滅ぼされたという事だろうか?


「“イル・イーター”にはあらゆるものが通じなかった!ドワーフの武器も!エルフの魔術も!人間の技術も等しく通じなかったが創造者達は遂に対抗手段となる装置を造り上げた!それこそがこの塔なのだ!」


「何?」


思わず周囲を見渡す、確かに周囲にある装置は今の技術とはかけ離れた高等なものだと分かるが塔そのものが装置だとすれば想像を超える技術だ。


「“イル・イーター”を概念存在として捕縛し次元の彼方へと追放する装置…概念兵装“天門の焔鍵(ケルビム)”を以て創造者達は魔神を封印して世界を救った!

だがその時には創造者達と周囲の者しか生きてはおらず、装置の代償としてこの地には想念が集まりダンジョンが生まれ続ける不毛の地へと変わったのだ!」


…ブラストペインが話した内容に息を呑む、それは誰も知らなかった魔大陸の歴史であり存在が示唆されていた古代文明が実在していたという証明でもあったからだ。


「世界を救う力は転ずれば世界を滅ぼす力になる!それを危惧した創造者達は死ぬ前にこの塔をダンジョンへと変えて俺達にこの塔を守る使命を与えた!俺達はあの剣士が来るまで忠実にその使命を守っていたのだ!」


そして、話はロウドとの邂逅へと移っていった…。

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