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17:昂らせてみよ


「む?良く見れば貴様のそれは我が同胞ではないか」


ルスクディーテは俺が手にしている武器…カオスクルセイダーを示す。


「同胞…お前はこいつの仲間なのか?」


「自由意思を得た人ならざる者、という意味での同胞であり仲間とはちと違う、そやつが目覚めたのは感じ取っていたが早くも人間に与するとはのう」


ルスクディーテはどこか値踏みする様な視線を向けてくる、ホウと艶かしい息を吐くと優雅に脚を組み直した。


「まあ貴様への興味は尽きぬがそれは後にしよう、我に用があるのはどうやらそちらの娘の様だからのう」


鋭い爪のある指先で隣にいるアリアを示す、アリアは意を決した様子で前に出て問いかけた。


「強大な魔物が武器になったもの、私達はレアドロップと呼んでるものが欲しいの…ルスクディーテ、貴方は武器になれる?」


「ほう…」


アリアの問いかけにルスクディーテは口元に指を這わせながらアリアを見る、そして徐に口を開いた。


「結論から言えば可能だ…だが我が貴様の武器になるという事はない」


「…どうして?」


「簡単な話よ、何故我より弱い者に与しなければならんのだ」


吐き捨てる様に答えるとアリアを指差してルスクディーテは続ける。


「我の様に自由意思を持つ者にとって武器になるというのは心から忠誠を誓うのと同義、ここまで来れた事は褒めてやるがそれはまた別の話…だがお主達が我の出す試練を成し遂げるというのならば考えてやろう」


「試練?」


「そうじゃ、貴様等で我が出す試練を成し遂げてみせよ、その暁には娘、お主の手中に収まるのもやぶさかではない」


アリアがこちらに顔を向ける、俺はそれに首肯で答えると向き直って言葉を紡いだ。


「分かったわ、その試練とやら受けさせて」


「ははは、その意気や良し、では…来たれバルログ」


ルスクディーテは立ち上がると指を鳴らす、すると俺の足下から火柱が噴き出した。


俺とアリアは弾かれる様に火柱を避けるがそこから飛び出たものが俺に迫る、手斧で防ぐとそれは燃え盛る鞭だった。


手斧に巻きついた鞭はそのまま火柱と共に上に昇っていき、つられて俺も引っ張られて再びあの火口の中へと昇っていった…。






―――――


「ベルク!」


上へと連れていかれたベルクを見上げながら叫ぶ、すぐさまそれを起こした方に向き直るとルスクディーテは燃え盛る翼をはためかせて近くに降り立った。


「そう焦るな、あやつが助かるかどうかは貴様次第よ」


「…これが試練って訳?」


「そうじゃ、タイムリミットはあやつが殺されるまで、その前に我を屈服させるなり与するに値すると認めさせてみよ」


「…っ!」


長剣を引き抜いて構える、そして魔力を長剣と身体へと込めて斬り掛かった。


ルスクディーテは自らの爪で長剣を受け止める、そして空いた手に炎を生み出して放つ。


即座に後ろに跳んで炎を避ける、ルスクディーテは爪を口元に這わせながら妖しい光を灯る瞳で上を見上げる。


「我は雄々しき者が好きだ、情欲を掻き立て昂らせてくれる者が好きだ、その点で言えば貴様の(つがい)は良かったが既に同胞が与しておるからな」


だから、と彼女は再び私を捉えた。


「我を手にしたいならば…あやつに負けぬくらい我を昂らせてみよ」


背の翼が激しく燃え上がった…。

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