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161:暖かい月(シュリンside)


最初に見た時は冷たそうな人間だと思った。


私に絡んできた奴等とは違うのは分かるけど獣の様に鋭い目付きに無愛想な表情からは父様みたいにどんな感情を浮かべているか分からなかった。


熱を宿さない光…月光の様に思えたけど話すと侮るでも恐れるでもなく対等に接してくれた。


それから連れてきて父様と話していたけど父様の話についていけるくらいには頭が良いというのが分かった。


ジャガーノートと戦った時は改めてその強さを知った、ジャガーノートの核を探している時に見えたのは群がる魔物を蹴散らしてジャガーノートの進行を遮る姿だった。


そして父様が殺された時、父様を殺したロウドは私を打ちのめした時も殺そうとした時も一切表情を変える事はなかった。


だけど駆けつけたベルクに対してロウドは笑みを浮かべていた、相対するだけで震えるくらい圧倒的な力を持つロウドに消耗している筈なのに臆する事なく立ち向かった。


父様が死んで泣く事しか出来なかった私にベルクは父様からの手紙を見つけて渡してくれた、それでも色んな思いが溢れて泣いた私にベルクは寄り添ってくれた。


撫でてくれた手は暖かくて、父様とは全然違うのに私を見る瞳は父様みたいに優しくて…。


(どうして父様が重なるの…?)


そんな事を考えていると変な声が聞こえてきた。


(アリアにセレナ…?)


気配を殺してベルク達が使ってる部屋を見に行くとベルクを囲う様にしてアリア達が体を重ねていた。


(…っ!?)


目の前で行われている事を知識だけでは知っていたけど目の当たりにして思わず見続けてしまう、アリア達が体を震わせて恍惚とした表情を浮かべるのを見ておなかが熱くなる。


(あんなに、満たされてる様な…)


分からなかった、どうしてそんな幸せで満たされた表情になるのか、アリア達をあんな表情にさせるベルクという人間が…。


だから知りたくて声を掛けた、アリア達をあんな風に出来るベルクなら空っぽになった私をなんとか出来るんじゃないかって思ったから。


そして答えを聞いてベルクがどんな人間か分かった気がした…。


(暖かい…)


月の様に冷たく感じたけど共にいると内にある優しさが分かる、暗闇で立ち止まった時に進む道を照らす様に示してくれる、空っぽで冷たくなった心を秘めた熱で満たしてくれる。


傍にいなければその暖かさには気付けない、私にもようやく父様が彼に託した理由を理解できた。


自分が何をしてどうなりたいのか…その答えはまだ分からないけど、ベルクと一緒にいればいつか分かる気がする…。


だから私もベルクの力になる、それが今の私に出来る事だと思うから…。

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