124:来ちゃいました
墓参りを終えてから久しぶりに兄貴と親父の三人で話した、その中でアリアやセレナとの関係やヴィクトリア達とのあれこれがバレて兄貴から苦言を受けたり親父が絶句したりもした。
それから次来る時はアリア達を連れてくると約束して王都に戻ると…。
「やっほーベルク君」
そこにはフィリアが騎士達伴って訪れていた。
「おおよそ予想はつきますが帝国から派遣される人材とは…」
「もちろん私達だよー、他にもボルガ君が魔物達の鎮圧にアルクトス君は内政監査で来てるよー」
「…ならフィリアが来たのは」
「当然魔道具や例のモノを研究しにー、それに使用して人間に戻った生存者がいると聞きましていてもたってもいられず来ちゃいましたー」
柔和な雰囲気をしながら研究一筋なのは変わらない様だ、その毎に少しだけ安心すると兄貴と話してもらった。
「お久しぶりですフィルネリア様、ベルガ王国まで来て頂きありがとうございます」
「いえいえー、それにこれから長い付き合いになるでしょうからフィリアで良いですよーお義兄さん」
「おに…」
「あーっとフィリア、アリア達はどうしたんだ?」
何か言われる前に話を逸らすとフィリアはぐりんと勢い良く振り向いて俺の手を取る、その眼は異様にギラついていた。
「そうそう、ベルク君が来るのずっと待ってたんだよ!アリアちゃんに加えてセレナちゃんの聖杖やラクル君の大剣とかもう研究したいのばかりだけど今は君のカオスクルセイダーを見たくて仕方なかったの!」
「は、はあ…」
「という訳でさ…」
さっきとは打って変わった様子に騎士達は頭を押さえたり兄貴に頭を下げたりしており兄貴は苦笑しながらも騎士達に気にしないで欲しいという旨を伝える、そんな状況を欠片も気にせずフィリアは指を立てて俺に言い放った。
「今からベルク君を合わせて四人でレアドロップを使って模擬戦してくれないかな?もうアリアちゃん達には準備してもらってるから後はベルク君だけなんだよね」
駄目?と首を傾げながら問われて俺はため息をついた…。
―――――
「あ、お帰りベルク」
王都の郊外にある平原でアリア達と合流するとそこには様々な魔道具が並べ立てられていた。
「準備は終わってます、いつでも大丈夫です」
「ありがとー、優秀だねテレジアちゃんー」
髪を束ねたテレジアがフィリアに頭を下げる、まるで助手の様な姿に一瞬目を向けるがフィリアはパンと手を打って向き直った。
「それじゃまずはベルク君とラクル君でやってくれないかなー?やっぱり最初はタイプが似てる二人のから見たいからねー」
フィリアの言葉に俺とラクルは頷いて向き合う、そして互いに武器を構えて力ある言葉を口にした。
「軍装展開“黒纏う聖軍”!」
「嶽装展開“甲嶽王”!」
黒い嵐と大山が平原に顕現した…。