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12:女剣士の依頼


「ごめん、取り乱しちゃった」


場所を変えて話す為に移動している間に落ち着きを取り戻したのか少女は謝ってきた、ひとまずはパーティや交渉に使われる仕切られた酒場に行くと向き合う形で卓についた。


「それにお礼と自己紹介が先だよね、私はアリア、あの時は助けてくれて本当にありがとう」


「ベルクだ、どういたしまして…と言うべきか?」


「あはは、それでさ…恩人に対して厚かましいお願いだとは分かってるんだけど貴方の武器を見せてくれないかな?」


「一応聞くが何故だ?」


「それがレアドロップだからじゃ理由にはならないかな?あの時の事は私も見てたからね」


どうやら気を失う直前に聞いた声はアリアのものだったらしい、だとすると誤魔化しても無駄だろうし盗まれる事もない以上、見せるくらいなら良いだろう。


腰に差していた小剣を卓に置く、アリアはまじまじとそれを見ると少しだけ指を近付けるが再び黒い電気が走って指を弾いた。


「あてて…やっぱり駄目かぁ、あー折角のチャンスだったのにぃ…」


「チャンス?」


「ようやくレアドロップする魔物と会えたのに力不足で倒せなかった…レアドロップを手に入れる為に家を出て冒険者になったのに…」


そう言ってアリアは突っ伏す、だが少しして彼女は顔を上げると何かを決意した様な表情をしていた。


「ねえ、私がレアドロップを手に入れるの協力してくれない?」


「なに?」


「私はどうしてもレアドロップを手にしたいの、でも私だけじゃまだ届かない…だからあの魔物を倒した貴方の力を貸して欲しい」


そう言うアリアの眼には強い熱が宿っていた、理由は分からないが彼女が本気で言っているのだとは分かった、だが…。


「…報酬は?」


冒険者として頼まれたからでは命は賭けれない、今回は倒す事が出来たがあのレベルの魔物とまた戦うとなると相応の見返りが欲しいところだ。


「そうね、私がレアドロップを手に入れたらなんでもするとして…前払いとして私が知ってる限りのレアドロップに関する情報を提供するのはどう?」


「情報?」


「それを手にした時に声が聞こえたんじゃない?」


言われて少しだけ眉を動かしてしまう、カマを掛けられているのかと考えて僅かな時間黙ってしまい、アリアはそれで察したようだ。


「その声は貴方が倒した魔物、そしてその武器の声よ、レアドロップには人みたいに強い自我や意思というべきものが宿ってるの」


「武器の声…」


「あと所有者しか使いこなせないのもレアドロップの特徴のひとつだけど…実は持つくらいなら大丈夫なのもあるのよ、貴方のはかなり気難しいみたいね」


「…その情報はどこから得た?」


レアドロップはギルドマスターすら詳細を知らないものだ、だというのにアリアは見てきたかの様にレアドロップに関する知識を有している。


「ここから先は貴方が受けてくれるなら教えるわ、私の話が信頼できるものだと分かってもらうには私の言いたくない事まで言わないといけない…だから決めて、私の話を戯れ言と流して終わりにするか、私の話に乗るか」


…どうしたものか、勘でしかないがアリアは嘘は言ってないが厄介な事情を抱えている気がする、受ければ面倒事に関わる事になりそうだ。


冒険者として気楽な生活が崩れるかも知れない、そんな予感がするが…。


(貴方の力を貸して欲しい…か)


心の奥底から湧き出る想いに嘘はつけなかった。


「分かった、協力しよう」


「本当!?後からイヤだとか言わない?」


「二言はない」


俺の返事を聞いてアリアは花の様に笑顔を綻ばせて小さくガッツポーズを取る、もう少し見ていたいところだがそうもいかない。


「それで、話してもらえるよな」


「うん!もはや私達は一蓮托生、一心同体なんだから全部話すわ!」


彼女はそう言うと長剣の鍔にある装飾を外す、その下に彫られていた獅子と剣…とある国の紋章に目を疑った。


「私はアルセリア・リーシュ・ミルドレア、ミルドレア帝国の第三皇女なんだ」


継承権とかは家を出る時に破棄しちゃったけどね、と彼女は笑いながら驚愕の事実を伝えてきた…。

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