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103:開戦


上から迫る魔物達を水の障壁と焔の波が遮る、その間に両手に(クロスボウ)を掴んでバグラスとフィフスの脚に向けて射つ。


バグラスは槍で弾きフィフスは後ろに跳んでかわすが…。


その一瞬の間にガンザがザンマを振りかぶった体勢でフィフスの目の前まで迫っていた


嶽装(がくそう)展開!」


「むぅ!?」


力ある言葉と共にガンザの全身を岩の鎧が覆っていき踏み込むと同時に地面が割れて地響きが起こる、地を這う様に振るわれた刃を杖で受けたフィフスは甲高い音と共に打ち上げられる。


「“甲嶽王(ザンマ)”…参る!」


フィフスを追ってガンザも跳躍する、ラクルもその後を追って屋根の向こうへと姿を消した。


「アンタの相手は俺だ」


「ちっ!?人捨獣纏(じんしゃじゅうてん)バグラエル!」


斬りかかったバグラスの全身に虫達が集まって鎧となる、槍で剣を防ぐと背中から飛び出た蠍の尾を放ってきた。


即座に小剣を出して尾を弾く、逆手に持ち変えて脇腹を突こうとするが飛翔して逃げられる。


館の壁を駆け上がってバグラスに追いつくと同時に半月斧(バルディッシュ)を振るう、バグラスはすかさず槍で受け流した。


屋根の着地すると魔物達が襲い掛かる、手斧と小剣を出して左から来た魔物の頭に手斧を叩き込んで右から来た魔物の喉を小剣で貫く。


武器を手放して右手に逆手の状態で両手大剣(トゥハンドソード)を掴んで後ろから迫っていた魔物を貫く、両手で柄を掴むと力を込めて両手大剣をその場で回転する様に振り回して周囲に迫っていた魔物を蹴散らした。


バグラスが振り下ろしてきた槍を両手大剣で受け止める、そのまま互いの武器を交差させたまま鍔迫り合いとなった。


「兄が怪物ならば貴様は化物だな、この姿の俺と互角の腕力とは…」


「その姿のアンタには言われたくないな」


「その上、口も減らないか」


槍の穂先がしなってこちらに迫るのを手甲で弾いて逸らす、穂先から放たれたものは逸らされた事ですぐ横の屋根を穿った。


脚に風を纏いながら膝当てを装着してバグラスの腹を蹴る、だがバグラスは蹴られると同時に後ろに跳んで膝蹴りを避けると槍をこちらに向けながら告げてきた。


「貴様の相手をするのは俺ではない」


「何?」


「あそこにいる」


そう言ってバグラスは中庭のオブジェを示す、その直後に足下で何かが蠢く気配を感じて見ると今にも破裂しそうなほど膨れ上がった虫がいた。


危険を感じて飛び退くと同時に虫が爆発を起こす、爆風によって中庭に落ちると同時に中庭の四隅から柱が隆起して妖しく輝いた。


屋根の上で戦っているアリアとセレナもこちらに気付くが立ち上がった瞬間に中庭に結界が貼られた、アリア達がこちらに来ようとするのを手で止めて目の前の相手に集中する様に示した。


「それは貴様の婚約者だったらしい、なら貴様が相手をすべきだろう?」


結界越しにバグラスが告げると同時にオブジェが動き出す、金属が擦れ合う音を鳴らしながらそれは立ち上がった。


鉄くずに見えたのは羽根だった、鉄の羽根で覆われた翼で隠していた身体は下半身は鉤爪を備えた猛禽の脚を象っており、上半身は全身鎧を纏った女の形になっていた。


「――――――――――ッ!!!!」


幾つもの鉄くずが組み合わさって構成されている身体を震わせながら金属を重ね合わせかの様な叫び声を響かせる、その額にはあの水晶が輝いていた…。

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― 新着の感想 ―
[一言] フィフスもそうだけど、バグラスもどうしようもないな汗 きっかけがあったとはいえ、無関係の人間に悪意を振りまいてる時点で自分が嫌悪した人種と同じになってしまっている。 そこに気づいて絶望するん…
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