表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪党の食卓。 --王妃の実家は、たぶん黒幕説。--  作者: マイネ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/51

それぞれの結末・実行犯。



それぞれの結末・実行犯。

ステラ準男爵令嬢




 そして、もう1人。忘れられた令嬢がいる。



 脅されて、実際に毒を盛っていた、実行犯・ステラ嬢だ。






 …彼女は生きている。






 しかし、あの後、確かに彼女は、ステラは殺された。





 今の彼女は名前を捨てて、身分を捨てて、ベルトハイド公爵家で下女として働いている。




 彼女の新しい名前はラテ。




 死を望んだ彼女に、ベルトハイドは生き続けるという罰を課した。




 やっと世界から居なくなれる。 


 この碌でもない人生を終えられる。


 そう、心の底から喜んだ彼女は、再び与えられた生に絶望した。




 そして、彼女にも自死防止リングがつけられた。




 泣いて叫んで絶望していた彼女だが、ベルトハイドの面々や使用人は、気にも留めず、彼女を社会から抹消し、死を偽装して、彼女に新しい名と、仕事を与えた。




 もちろん、殺してしまう。という、選択肢もあった。




 だが、それはしなかった。




 理由の1つは、ベルトハイドが殺しを、あまり好まない事にあった。



 彼等を楽しませるのはいつだって、生きている人間達であり、動かない肉の塊には、何の面白みもない。と、知っているからだ。




 しかし今回、彼女が殺されなかった最大の理由は、別にあった。



 



 何故なら、彼女だけはまだ、ベルトハイドに何の儲けも、(もたら)していなかったからだ。





 爵位や領土を返還して、利益になった侯爵令嬢。



 実家の情報と、彼女の両親を売りつける事で、利益になった男爵令嬢。




 そして残されたのは、何の金にもならなかった、実行犯。ただの準男爵家の四女だった彼女(ステラ)だった。




▼△▼




 彼女を売り飛ばす事も考えられた。



 だが、大した金にはならないと判断された。



 賢く立ち回られても、厄介だった。


 

 それに、使い捨てるにしても、今じゃない。



 だから、使用人として、雇用する事にした。



 そうすれば監視も出来て、彼女の働きは、直接ベルトハイドの利益になる…。




▼△▼



 もちろん彼女は、大罪を犯した犯罪者だ。



 屋敷内での彼女の扱いは、良くはない。



 けれど、彼女は、意外にも真面目に働いて、ベルトハイドの為に尽くしているらしい。





 彼女はベルトハイドに殺される事で、命を救われた上に、名前と身分を失って、ステラは何処にも居なくなった。



 その結果、彼女は名前と共に、家族と過去を失った。




 もちろん彼女の記憶が消えるわけではないが、彼女はベルトハイドのおかげで、彼女に不幸を齎し続けた家族を、辛かった過去を、いとも簡単に捨てられた。




 だから、彼女自身は少しも望んではいなかったが、実質的に、2度もベルトハイドに救われてしまったのだ。




 賢い彼女は、絶望する事に疲れて、理性的になると、すぐにその事実に気がついた。




 結果、彼女はどんなにひどい扱いを受けたとしても、自分がしてしまった事を思えば、当然だと受け入れられた。




 それに、この屋敷でラテとして生きることで、ステラの頃には無かった、人間としての最低限の尊厳を、生まれて初めて実感していた。




 だから彼女は、勝手にベルトハイドに感謝をし、崇拝し、ベルトハイドの為に、毎日身を粉にして働いている。




 それに、彼女は理解したのだ。




 彼女はベルトハイドのせいで一度死んで、ベルトハイドのおかげで、ようやく彼女自身の人生を歩み出しているのだと。




 だから、彼女は今日も、崇拝するベルトハイドの為に、自分に出来ることを懸命にこなしている。




 そして、もし機会があるのなら、この身を賭してでもベルトハイドのお役に立ちたい…等と、ただの下女・ラテは、意図せずにベルトハイドの使用人らしい心構えを、順調に育んでいる。





 それが、語られない彼女の、語られない物語であった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ