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拾われた猫。  作者: 佐雲
9/12

.08




「誰って言いたげだ」




クスクスと笑う彼は上品さが伺えた。




キョロキョロと周りを見渡すけど、ただ黒が続くだけ。




「何も無いよ。


お前が思うように、〝ただ黒が続くだけ〟」




彼をキッと睨みつける。




「怒ったのか?


心を読まれたと」



また彼はクスクスと笑った。




まるで私で遊んでいるようで気に食わなかった。





「すまない。


そんなに怒らないでくれ。


お前に嫌われては泣いてしまう」




違う意味で泣いている彼を睨みつけたまま、警戒態勢を解かずにいた。




そんな私に困ったように笑って、ため息をついた。



ただの夢でこんなに気分が悪くなると思わなかった。





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