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父の思惑

豊作祭の日、アルレットが何者かに連れ去られたと報告を受けた。


以前から魔力を持つ令嬢を狙った誘拐があると聞く。


身代金の交渉も何もないことから今回もきっとそうなのだろう。


フルールには騎士を派遣しないのかと言われたが、今まで誘拐された令嬢で見つかった者はいない。


派遣したところで無駄足になるだろう。


それにアルレットは魔力を持たないのだから、誘拐犯達もそれに気付いた時に解放するかもしれない。


そもそも口に出したことはないが、魔力を持たないなんて私の血を引いていないのではないか。


それにこのままアルレットが帰ってこなければアルバトス家との縁談もなくなり、娘に魔力がないことが公にならずにすむ。


当主の娘に魔力がないなどということは、決してあってはならないのだ。








何かがおかしい。


アルレットが誘拐されてから数日。


結界をすり抜けてくる魔物が増えた。


何か歪みが生じているのかと確認するがそんな様子はない。


私は再び結界を張り直すことにしたが、魔物の侵入は収まらなかった。


私は魔物を討伐すべく騎士団を従えて行ったが、私の魔力だけではトドメを刺すことができなかった。


なんとか足止めし、騎士団の力を借りてやっと倒すことができた。


以前は私一人で軽々と魔物を討伐していたのに・・・・・・短期間で魔力が弱まったというのか?


騎士団も私の力の衰えに驚きを隠せない様子だった。


もしかしたらどこかに不調があり一時的に魔力が弱まっているのかと思ったが、そうではなかった。


次の日もまた次の日も私は弱いままだった。


今では見兼ねた補佐役が中心となり魔物討伐を行っている。


まずい・・・・・・このままでは当主の座を追われる。


代々引き継いできたカンタールを終わらせるわけにはいかないのに。


ある時私は補佐役達が不思議な話をしているのを聞いた。


一つはアルバトスのリオネルの魔力が以前と比べて急激に強くなったということ。


・・・確かに以前魔力競技大会で彼を見た時は、あのグリフォンを倒したときほど強くはなかった。


そして2つ目、グリフォンが突入してくる前にアルレットがリオネルに対して何か魔力のようなものを使っていたということ。


これはどういう事だ?アルレットには魔力などない。


子供の頃から共に生活しているがアルレットが魔力を使う場面など一度も見たことがない。


そして3つ目、アルレットは今アルバトスに居るということ。


私には何が起きているのか分からなかった。


「お姉様が無事だったって本当なの!? 迎えに行かなくていいの!?」


どこから聞きつけたのか、フルールにアルレットを迎えに行くように急かされる。


いつもフルールは姉に対して辛辣な物言いをしていたので心配していたなんて意外だった。


「しかし今のこの魔物の溢れた状況では迎えに行っている暇などあるまい」


「今だから迎えに行くのよ!!」


「それは一体どういうことだ?」


「お父様、本当に気付いてなかったの? 長年お父様の魔力はお姉様によって強化されていたのよ」


「強化?何のことだ?」


「お姉様には本当は魔力があるわ。 それも他人の力を強化するという特殊なものが。 お父様はずっと前からお姉様によって魔力を強化されていたのよ。 きっと魔力が弱まっていることに気付いていたのね・・・・・・」


なんということだ。


信じ難い話だが、そうであれば辻褄が合う。


リオネルは子供の頃のアルレットを知っているので魔力があることに気付いていたのだ。


そしてあのパーティの日、アルレットはリオネルの力を強化した。


リオネルが結婚を申し込んだのは、その力欲しさにだろう。


まさか自分で守ってきたと思っていたカンタールが蔑んでいたアルレットの魔力によって守られていたとは。


このままアルバトスにアルレットを渡してはならない。


早くアルレットを取り返さなくてはカンタールは、私は終わりだ。


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