6 赤ちゃんなんだから仕方がない
赤ちゃんって夜中もお腹が空くんだ。
……恥ずかしいのはオムツ交換だ。
これだけは恥ずかしすぎて手で顔を覆う事が出来ないから、目を瞑っている。
「ふえー……」
お腹空いて誰かを呼ぼうと思ったけど……みんなも疲れてるよね。
少しだけなら大丈夫だよね……我慢してみようかな。
**数時間後**
何だか息苦しいような……ギ、ギブ!
「……」
お腹が空きすぎて声が出せない。
【……サン、リン誰か呼んで……私……我慢しすぎたみたい】
「俺が呼んで来るから、リンはアンジュの側にいろ!」
「分かったわ!」
サンは急いで呼びに行ってくれたが。
リンは困った表情をしている。
「アンジュ、こんなになる前に言わなきゃ駄目だよ?
何で言わなかったの?」
【……みんなが疲れてると思ったし、少しだけなら我慢が出来ると思ったから……ごめんなさい。
赤ちゃんの間はみんなを頼るよ。私が一人で行動出来るようになったら、いっぱい恩返しする!】
「誰も迷惑だなんて思ってないよ?
一人で行動が出来るようになった時にお返しするのは良いことだよ」
【うん。それにしても赤ちゃんって本当に弱いね、気をつけないと。
みんなに『迷惑をかけてごめんなさい』って謝らないと】
「うん、そうだね」
遠くから走る音が近付いて来たと思っていると、勢いよくドアが開いた。
みんなの息は荒く、王宮の治癒士であるグレン様に診てもらった。
空腹による脱水症状との診断だ。
私を見たママが優しく抱き白湯を少し飲ませてくれたあと、ゆっくりとミルクを飲んだ。
ママは私の目を見て真剣な表情で聞いた。
「アンジュ、私達はもう家族なのだから遠慮なんてしてはいけませんよ?
アンジュは赤ちゃんなのだから、泣いて笑って寝ることが仕事なの。
なによりミルクを飲むことが大切なことなのよ。
だから、わたくしたちを頼って欲しいの」
「兄である俺のことも頼ってよ?」
「僕のことだって兄として……頼ってよ!」
「お姉ちゃんのわたくしもいますわよ?」
「……アンジュ……パパのことを忘れないでくれよ?
パパ泣いちゃうぞ?」
【みんな……ごめんなさい!
そして……ありがとうございます!】
「みんな……ごめんなさい!
そして……ありがとうございます!」
「アンジュが言ってる」
「……うっ、うっ……ふえーーん!!」
パパは私を大切で愛しむかの様に優しく抱きしめた。
今度はママが背中をゆっくりと撫でながら抱きしめてくれている。
エドウィンお兄ちゃんは頭を撫でてくれ。
アイリスお姉ちゃんはオデコにキスをしてくれた。
ルーアキースお兄ちゃんは頬をツンツンと突いて優しい声で名前を読んでくれた。
「アンジュ」
「ふえーーん」
メイドの二ーナが椅子に座ってミルクを飲ませてくれた後、いつもの散歩に出ていると綺麗な噴水広場に先客が。
先客はいつも「チュンチュン」と可愛らしい声で鳴きながら私の所へ来てくれる。
ふふふ、みんな今日も来てくれてありがとう。
今日も良いお天気だから噴水の水がキラキラと輝いてて綺麗だよね。
それに、ここの噴水に呼ばれてるような気がして不思議なんだ。
「うぅーー、あぁーー。
あーー、あーー!」
「アンジュ様が今日も元気でいてくれることが嬉しいです」
「二ーナ、みんながまたアンジュを探しているぞ?
また俺が伝えて来てやるからアンジュと遊んでてくれ」
【二ーナ、いつもありがとう】
「いつもの日課なのにね。
アンジュがありがとうだって」
「アンジュ様、私の方こそありがとうございます。
お屋敷に入りますか?」
【あと少しだけ小鳥さんと遊びたい】
「あと少しだけ小鳥と遊びたいんだって」
「はい、畏まりました」
サンが戻って来たと同時に家族が勢揃いで噴水広場に来ていた。
「いつ見てもアンジュの周りは賑やかだな」
「……!
見て、アンジュが!」
「一人で座ってる!」
「今日は家族でお祝いだ!」
やっと7ヶ月頃になり、1人でお座りが出来るようになったんだよ。
でもさぁ、私が一人で何か出来る度にお祝いって……みんな溺愛すぎでしょ!
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