37 ドラゴン
リンの声に驚きながら起きると。
そこにいたのは『ドラゴン』だった。
普通のドラゴンではなく、ブラックドラゴンだ。この世界で最後の個体。
そのドラゴンが姿を表したのは500年ぶりなんだとか。やはり、愛し子が関係していることが分かる。
「ドラゴンさん、こんばんは。
私達に用ですか? もしかして、ここはドラゴンさんの巣穴ですか?」
「いいや、ここには住んでいるモノはいない。
愛し子の匂いがしていたから、見に来た」
「そうだったんですね。
じゃあ、一緒に寝ますか?」
私の問に驚いたのか、目を見開いていたが「あぁ、宜しく頼む」の一言だけ言って、私の隣で一緒に朝まで眠った。
「ドラゴンさん、おはよう。私達はガザニアへ帰る途中なの。近道があったら教えてほしい」
「近道……俺に乗れば数日で着くぞ?」
「ドラゴンさんの得にならないのに良いの?」
「……俺に名をくれ!」
「名前って、私の従魔になるの?」
「退屈しのぎになりそうだからな……変な輩もいるしな。早くしろ、向こうからの攻撃が来るぞ!」
私は巣穴から出て外の様子を見ると、あの黒のローブの男性と緑色のドラゴンが周りをウロウロしている。
こんな場所まで追って来るって、ストーカーじゃん!
「そうだなぁ『リュウ』はどうかな?」
私とリュウの間が光り、従魔契約が成立した。
リュウに乗り、ローブの男性と戦う為に飛んだ。
他のみんなには、巣穴から観戦してもらうことにした。
「リュウ、宜しくね!」
「任せときな!」
黒いローブの男性はリュウを見た瞬間に逃げてしまった。が、微かな気配があるのは分かる。だから、こちらの様子を見ているんだろう。
「リュウどうしよう? このままガザニアへ移動しても良いかな? 移動してる途中で変化があれば攻撃するってことで良い?」
「ああ、俺はアンジュに従うよ」
「リュウ、ありがとう」
巣穴に戻り、ルルに父様と王様に伝言せてもらうよう、お願いをし。みんなでリュウの背に乗り、ガザニアへの移動を開始した。
「緊急連絡! 今アンジュをさらった者と緑ドラゴンに追跡されながらガザニアへ目指しています。ガザニアには明日着く予定! もしもの時に備えて交戦の準備をお願いします!!」
ルルをギュッと抱きしめ、家族と身内に会える喜びに舞い上がっていた。
帰ったら、母様と姉様と一緒に寝たい。父様と兄様方には戦い方を学びたい……ううん、一度本気の戦いがしてみたいわ。
「ルル、聞こえるか? みんな無事なんだな。
陛下からの伝言だ。そのままガザニアまで帰国し、王宮へ避難とのことだ。王宮へ避難だぞ!」
「了解!」
異世界から来た聖女達や黒いローブの者と緑ドラゴンのことが気になってしまう。
聖女がウィリアム王子様に色目を使っていろいろしていたら……でも、姉様とシャル姉様がいるから大丈夫かも。ううん、確実に大丈夫だわ。
それに、王族の女性陣は強いし嘘なんて直ぐに見破られちゃうんだから。
いろんなことを考えてたら悩んでいた自分が可笑しくて笑えちゃうよ。
やっとみんなに会えるんだ。
私は早く会いたい。
あの人に!!
「面白かった!」
「続きが気になる!」
「早く読みたい!」
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