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3 妖精と精霊の愛し子

暖かいテントの中で『隊長』と呼ばれていた人に抱っこされている。


抱き方は、まあ上手だと思うけど……。


私のお父さんとお母さんは?


お願い……二人に会わせて!


お父さーーんっ!


お母さーーんっ!


「……っ……。

……うっ、ぅんぎゃぁ、ぅんぎゃぁ!!」


「よしよしっ!

もう大丈夫だからな、ほらミルクだぞ。

ゆっくり飲むんだよ」


ミルクって美味しいんだね。


甘ったるいのかと思っていたけど……普通のほのかに甘いホットミルクの味で安心した。


へぇーー、赤ちゃんってこれだけでお腹いっぱいになるんだ。


眠いのも……赤ちゃん……だからな……の?


「アンジュちゃん眠っちゃいましたね。

それにしても可愛い寝顔ですよね」


「……アベル……その(よこしま)な目でアンジュを見るんじゃない!」


「……セドリック隊長、俺はその辺にいるような変態男と違いますからね。

純粋な心でアンジュちゃんの寝顔が可愛いって思っただけですから、勘違かんちがいしないでくださいよ?」


「………………」


「隊長、その目はなんすか?」


「知っているんだからな。一昨日の夜にまた別の女性をお前の部屋にお持ち帰りしたってことをな……」


「……あれは俺の恋人ですよ?


前に相談していた女性です。やっと付き合えるようになったですから」


「あぁ、あの時の……まあ、捨てられないように頑張れよ?」


「…………」


アベルは遠くを見つめ、泣くのかと思いきや一人寂しく……。


黄昏たそがれていた!







何度見ても木ばっかり。


でもね、ここには良いところはあるんだよ。


花や植物のにおいや、朝露(あさつゆ)でしたたるような新緑(しんりょく)の香り。


爽やかだなぁーーって思うと深呼吸したくなっちゃうんだよね。


これぞまさに『緑の香り』って言いたくなるよ。


あとはね、動物達が可愛いの。


動物さん達は私にスリスリや頬をひとめしたあと、森へと帰って行く。


私は凄く嬉しくて声に出して喜んだ。


「あーー、あーー!」


「アンジュちゃん喜んでますね。

ご両親も生きてくれてたら……と考えると悔しくなります」


「シッ!

ロバート、アンジュに聞こえてしまう」


もう遅いよ、聞こえ……ちゃったよ。


わたしのパパとママは……。


わたし孤児こじになるってこと?


……わたしの人生って、波乱万丈はらんばんじょうじゃん!


赤ちゃんだし一応泣いておかないと……。


「ぉぎゃぁっ、ぉぎゃぁっ!!」


「団長、悪い。

アンジュちゃん、ゴメンな。

キミには新しいパパが抱っこしてくれてるから怖いことはもうないよ」


「ひっく、ひっく……っ……?」


はい?


新しいパパ?


私は孤児こじになるんじゃないの?


「俺達マーガレット公爵家がアンジュを養女にし、必ず幸せにする。

アンジュの本当のご両親にもちかうよ!

俺の娘になってくれないだろうか?」


精鋭隊長せいえいたいちょうさんは優しく微笑んだ後、赤ちゃんである私の瞳をらすことなく真剣な眼差(まなざ)しで聞いてくれた。


言うまでもないよ。


返事は『YES』だ。


話せないからどう意思表示いしひょうじを……嫌な時は『うーーっ!』嬉しい時や良いよって時は『あーー、あーー!』誰かを呼ぶ時は『ふぇーんっ』と泣く。


これでいこう!


隊長さんの人差し指をギュッと握って、意思表示をした。


「あーー、あーー!」


「アンジュが返事をくれたぞ!


今日から『アンジュ・マーガレット』だ」


「魔物は出なかったな」


「そうだな。

……ブラックウルフ以外は姿を見なかったな」


「隊長、俺は妖精の粉のお陰だと思います」


「ははは、俺も同じことを考えていた。

やはり妖精が戻って来たことが大きいんだろう。

ガザニアに着いたら即教会へ行かないとだな」


私は今日からアンジュ・マーガレットになった。


明日はガザニア国に着き次第、教会と王国へ養女申請をすると話していたな。


「面白かった!」


「続きが気になる!」


「早く読みたい!」


と思ってくれたら


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