20 フェンリル
フェンは私達がいることを忘れたかのようにスピードを出し、しがみついてるのがやっとの状態だ。
一時休憩だと言って、果物をいっぱい持って来てくれた。うわぁーー、美味しそう!
このぶどうに似た果物を一口……!
「んんーー! おいしい。あじがモモのようにあまさがあって、かわまであまい!!」
甘くて美味しい果物を口いっぱいになるまで食べたのは初めてだよ。それくらい美味しいってこと。
隣を見ると、リンは野いちごをお腹いっぱい食べ、ルルは紫色の怪しい見た目の果物をガツガツと食べているが、匂いが甘いメロンのようだ。
お腹も満たしたところで、あまった果物はアイテムボックスに入れることにした。
私達は再度フェンの背に乗り、気持ち良い風を感じていた。獣道でどのように進んでいるのか分からないが、フワッと何かの中に入った感があり、周りをキョロキョロしていると明るくて広い場所に到着。
周りにいるのは……フェンリルの群れだ。
私達食べられないかな? そんなことを考えていたが、私の杞憂だった。
みんなスリスリと頭を擦りつけてくるので、なでなですると毛がモッフモッフなの。あぁ、この感じ良い!!
もっと撫でていたい!
フェンリルのからだに思いっきり抱きつくと……ボフンッ! モッフーーンとしてて、このモフモフの毛で寝たいと思った私。
「ねえ、キミはおはなし……できるの?」
「…………」
「きをゆるしたあいてだけにはなすってことかな?
へんなはなしをしてごめんね。わたしはナデナデができるだけでうれしい」
フェンの方へ行き鼻を擦り付けている。もしかしてフェンの番なのかな? あっ、可愛い子犬のような子フェンリルだ。
フェンの子どもなんだね。
「フェンのこども?」
私は思いきって聞いてみた。すると返答は私の予想とは違っていた。
「はははっ、オレの甥っ子と姪っ子だ。
オレの番はまだいないんだ」
「そうなの? フェンはカッコイイしモテそうなのに。もしそのこたちがフェンのこどもなら、フェンをここへおいていこうとおもっていたんだけど」
「まあ、オレに子がいようがいまいが、勝手について行くがな!」
フェンは喉をクククッと鳴らして笑っているけど、私は笑えなかった。だって、フェンについて来る子フェンリルがいたかもしれないからだよ。
でも、ついて来たらいっぱいモフモフが出来て良いかも。
そんなことを考えながら「ふふふっ」と私も鼻で笑い、寝床に案内してもらった。
干し草を#絨毯__じゅうたん__#のように敷きつめられ、その上には柔らかい植物の皮のような物で敷布団を作られている。
ここはフェンのテリトリー? 縄張り?
子フェンリルがフェンの側で寝ちゃった。んんーー、私も自分用のベッドが作りたいな。私はアイテムボックスに手を突っ込み、ゴソゴソと探り回った。
んっ? この触り心地……布団みたいな感触。思いきって取り出すと……はぁっ!
口をぽかんと開けたまま放心状態。だって、布団が出てきたんだもの。それも地球の布団だよ? 喉乾いたな、飲み物が欲しい。
スポーツドリンク出て来い! これだっ!!
「おぉっ! ほんとにでた。
ひとくち……なつかしいあじ」
このアイテムボックスの秘密って、地球にある物を出せるのかも。凄く良い物を貰ったな。
ルルとリンにも何か……甘いクッキーを一緒に食べていると、子フェンリルとフェンが匂いにつられたのか、鼻をヒクヒクさせながらやって来た。
「フェンたちもいっしょにたべない?」
「食い物なら何でも食うぞ!」
「…………」
「クスクス。はい、どうぞ」
テリヤキバーガー20個程お皿に置き、楽しい夕食を過ごした。
魔法の練習がしたいが、もう夜だし明日の朝にでもフェンに聞いてみよう。ガザニアのみんな……おやすみなさい。
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