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第5話 スキル全開! 叔父さんをぶっとばす!

 僕は叔父の家の庭にある、地下室に入っていった。


「ここは……!」


 そこはほの明るい美しい部屋だった。大きな魔導まどうランプが天井についている。魔導まどうランプは永久的に消えない、魔法の照明器具だ。古代からある代物しろものだ。こ、ここが、ルイーズさんの言う、「秘密の部屋」なのか?

 部屋は美しい地下庭園となっていた。


「うわぁ」


 僕は思わず声を上げた。花壇がたくさんあり、花が咲いていた。ところどころに小さい噴水があり、水が流れている。

 部屋の中央には、大きな円形の池。いや、プールか? 何なんだ、ここは?


 するとその時……。


『再度、レイジ・ターゼットを認識しました。レイジ・ターゼットにスキルを与えます』

 

 再び、さっきのような抑揚のない声がした。女性でもない、男性でもない、奇妙な声だ。


『レイジ・ターゼットに、スキルを装備させています……五分程度かかります』


 僕の名前を言っている?


「誰だ!」

 

 僕はこの奇妙な地下庭園の周囲に向かって、叫んでいた。


(さっき、謎の声が、「スキル」といってたけど、「スキル」って何だ? 聞いたこともない言葉だ)


『スキルとは、あなたへ与える、強力な能力のことです』

「こ、心を読み取った?」


 僕は驚いて庭園を見回した。しかし、僕以外誰もいない。


「君は一体、誰なんだ? 姿を現してくれ」

『私は、この部屋の管理人です。名はありません』

「管理人? じゃあ、君に主人はいるの?」

『はい、部屋の主はおります。ただし、部屋の主の名前をお教えできません。部屋の主からは、主の名をお教えすることを禁止されています』

「わ、わかった。とにかく、君、ここに出ててきてくれよ」

『残念ながら、私には体がありません』


 僕はゾッとした。


「じゃ、じゃあお化け、幽霊とかと話しているようなものなのか」

『そのようなお考えでよろしいかと』

「で、今、僕の体に何かしたのか? 僕にスキル、とかなんとか言ってたけど」

『はい、スキルをあなたに装備させています。あなたのスキルは……水面を見てください』

 

 僕は、目の前にある池の水面を見た。この池がなんだっていうんだ? すると、池の水面に、金色の文字が浮かんできた!

 そこにはこう書かれている。


『レイジ・ターゼットに、以下のスキルを装備させました。


【スキル】大魔導士の知恵 常人の七倍の判断力

【スキル】龍王りゅうおうの攻撃力 常人の七倍の攻撃力

【スキル】獣王じゅうおうの筋力 常人の七倍の筋力

【スキル】神速しんそく 常人の七倍の瞬発力


以上です』


「大魔導士、龍王りゅうおう、常人の七倍……これってどういうことなの?」

『簡単に言えば、あなたの能力が、普通の人間の七倍程度に変化したのです。パンチ力、ジャンプ力、キック力など』

「意味が分からないんだけど」

「では、外に出てみてください。意味がすぐ分かります」

「外?」


 僕は地下庭園を出て、階段を上がった。僕が叔父さんの家の庭に出ると、そこには……。ドーソン叔父さんが立っていた!


「おい、お前、何やってんだ?」


 や、やばいことが起こりそうだ……!


「お前……、その階段の下の扉を開けたんだな? フフフ、その扉はずっと開けることができなかったから、気になっていたんだ。鍵屋に頼んでも開きやしねえ。お前、中を見たのか? どけ、俺に見せてみろ」


 叔父さんは、僕をにらみつけた。


「い、いや、あそこには何もないよ」

「ウソをつくんじゃない。ほう、お前、何か隠してるな? お宝でも見つけたか。どけ!」

「叔父さんには、この地下は関係ない。入ってもなにも無いよ!」


 僕は何故かあの地下庭園を守らなければならない、という使命感に突き動かされて、声を上げた。

 すると、庭に声が響いた。


『ドーソン・ルーゼントを認識しました。異分子は排除してください。レイジ、異分子は排除してください』

「はあ? 何だ?」


 ドーソン叔父さんは、つるつるの頭をなで、空や庭を見回した。声は、地下だけではなく、地上の庭にも届くのか……。どういう仕組みなんだ?


「おい」


 ドーソン叔父さんは僕の肩をドン、と押した。


「今の声、何だ? お前の仲間か何かか?」

「ない、仲間なんていないよ」

「隠し事しやがると、ぶん殴るぞ! お宝は俺のものだ。さあ、地下に案内しろ!」


 ドーソン叔父さんは丸太のような右腕で、僕の胸ぐらをつかんできた。僕はとっさに、叔父さんの右手首をつかむ。


「ん? う、いてて」


 叔父さんの右手首──右腕は、ギリギリと音をたてる。


 え?


 何だ、これ。僕の力? 僕をつかみ上げている叔父さんの右腕が、僕の力によって、逆にひねられている。

 ど、どうしたっていうんだ?


 バッ


 叔父さんはあわてて、僕から右腕を離す。


「こ、このバカ野郎が……そんなに殺されてぇようだな」


 叔父さんは物凄い勢いで、大振りの右ストレートパンチを繰り出した。スッ……と僕は体を沈ませた。頭の上を叔父さんのパンチがかすめる。


「お、おう?」


 叔父さんは驚いたような顔をしたが、ブンブンとパンチを繰り出した。見える! 僕は叔父さんの二発のパンチをすべて、手で払い落した。


「お、お前ええっ! 生意気な。いつからそんな反抗的な態度ができるようになった!」


 叔父さんは、渾身の力を込めて、左フックを繰り出した。こんな丸太のような腕のパンチ、当たったら、大変なことになる!

 僕は必死の思いで、そのまま右腕を突き出した。


 ガツン


 物凄い音がした。

 僕は、叔父さんのアゴに、自分の右パンチを叩き込んでいた。僕のパンチの方が、速かったのだ。完全に叔父さんのアゴに入った。

 僕のカ、カウンター攻撃?

 アゴは急所だ!


「ご、げ」


 叔父さんはよろめき、庭の花壇につまづいて、地面に倒れ込んだ。そのまま動かない。ま、まさかそんな! あの屈強な叔父さんを、僕が殴り倒したっていうのか? 

 人生で、初めて人を殴り倒した……!


『ドーソン・ルーゼント、失神中。ドーソンの命に別状はなし。レイジの勝利確認』


 また声が周囲に響いた。

 叔父さんは、仰向けで、ピクピクと体を震わせている。確かに失神中らしい。

 ここから逃げなければ!


 僕は叔父さんの家から、逃げ出した。

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