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9/9

B級映画


 そしてその日俺は普段は絶対に食えないと思わせられるほどの美味しい夕食を食べ、そのまま何事もなく就寝した。





 「雨宮様起きてください。朝食の時間でございます。」

 

 メイドが起こしに来てくれたみたいだ。

 やはりベッドの質がいいな。


 「わかった着替えたら向かう。」

 

 そう答えるとメイドは一礼部屋を出ていった。





 「おはようございまぁすぅ。」

 「ああ、おはよう。」


 いつもとは全然違うな。

 髪はボサボサ。そしてまだ半開きな目。

 どうやら姫野は朝は弱いタイプみたいだな。


 


 紅茶常備のオシャレな朝食を食べ終わりバッグを背負う。


 そして俺たちは何事もなくいつもどおり学校に登校した。


 

 「おい、雨宮あれはどういうことだ。」

 「お、森脇か。おはよう。」

 「おはよう。じゃねぇよ!なんで普段人の影に隠れているような目立つのが嫌なお前がアイドルの姫野さんと2人で登校してきてんだよ。」

 

 なるほど確かにそうだな。たがどうするか。

 たまたまだと言おうと思ったが姫野とはこれからも一緒に帰ることになる。

 そうなるとさすがに誤魔化しきれないだろう。

 

 そこで思わぬ助けがあった。

 

 「実は理由があるんですよ。あ、あなたは森脇さんですね。雨宮さんの数少ない友人の。」

 

 その話題の中心の姫野だ。

 というか。

 こいつ、この状況で俺の事バカにしてくるか...。


 「そうなの?んで、理由って?」

 「それはですね。私の父と雨宮さんの父が親しんですよ。それで私の父が私のことが心配だからと。ほら、私のアイドルでしょう。変な人とかまぁそういうのは少なくないんですよ。」


 嘘は言わないがホントのことも言わないスタイルだな。

 この方法はかなり有効だ。

 言いたくないことは言わず。ぼろも出にくい。そして、一定の真実を混ぜている。

 姫野は思ったより馬鹿ではないようだ。


 「ん!今失礼なこと考えてましたか!」

 「いや、そんなことは。」

 

 こいつ、勘が鋭い。気をつけよう。


 それはそうと、森脇を中心にクラスメイトは納得してくれたみたいだ。

 これで常に俺が姫野のそばにいたとしても不審に思うやつは少なくなるだろう。


 

 その後も俺たちは特に何も無く、気づけばもう放課後だ。


 「では雨宮さん帰りましょうか。」

 「ん。りょーかい。」


 そして俺達は校門を出る。


 そこで姫野から想定外な内容が告げられた。


 「雨宮さん私ちょっと今から収録あるんで着いてきてもらっていいですか?」

 「は?聞いてないんだが?」

 「まぁ言ってませんからね。」

 「事前連絡はちゃんと済ませろ。」

 「いやそのつもりだったんですけど 雨宮さん学校でいつも近づくなオーラ出してるじゃないですか?」

 

 そうなのか?言われてみれば、俺は普段からあまり気を抜かないで周りを観察するくせがあるようだ。いわゆる職業病と言うやつかもしれないな。

 そうなると姫野に非はない。


 「そうかもな。じゃあ一概にお前のせいではないな。了解。じゃあ今から向かうか。」

 「はい。助かります。」


 そして俺たちは車に乗った。





 俺たちはそのまま無事収録を終えた。

 たまに、マネージャーさん達に彼氏さんですか?とか言われ、姫野が『どう見えます?』とか言った時は非常に面倒くさくなったが。


 そして帰り途中その時はついに来た。


 『グルル』

 

 低い唸り声。

 もう既に周りは取り囲まれているようだ。

 常人だったら背筋が凍るような気味の悪い声が聞こえてくる。

 

 まるでB級映画だな。


 実はもう少し前から気づいていたが数がかなり多そうだったので一般人に被害が及ばないように。

 そして、一箇所に集中できるように誘導した結果がこれだ。


 気配からして数は20ちょっとか、


 いくら聖女でもこの数を一度に成仏されるのは至難の業だろう。


 「雨宮さん。」

 「ああ。わかっている俺が守っておくからその間に成仏させろう。」

 「はい、わかりました。お願いします。」


 姫野がなにか詠唱をしているようだ。成仏させる手順か何かだろう。

 ゾンビのうち一体が襲いかかって来た。


 素直にかわしておく。が、


 遅い。そして狙いがわかり易すぎる。

 これは能力を使うまでもないな。


 そして俺はいつもは隠している武器を取る。

 

 1本の直刀。そしてかなり拳銃。


 今どき刀?と思うものもいるかもしれないが刀は接近戦に置いて最強だ。

 ナイフよりはリーチが長く、自分を守るため盾のようにすることもある。

 そして、拳銃。

 だがこれは普通の銃では無い。

 武器の創造系の能力者が作った物だ。

 拳銃の大きさでも中はレールガン。

 これはまだ人類が到達していない大きさだ。

 

 そして俺はこのふたつで遠距離、近距離両方を見る。

 

 こいつらは完全に殺し切るのはかなり手間がかかるので素直に姫野に任せる。


 なので動きを止める。


 近ずいてくるもの攻撃をかわし、足の腱を切る。

 そして遠くのものはレールガンで頭を確実に吹き飛ばす。再生はするがその間に時間は稼げる。


 そうこうしているうちに姫野の準備が終わったみたいだ。


 『レスト・イン・ピース!』


 そして天からの光が刺し20体以上のゾンビがその場で塵になって消えた。


 「すみません。かなりの数だったので詠唱が必要になってしまいました。」


 うん?ということはあまり規模が大きくなかったら詠唱はいらないのか?

 相手もそれを知ってて大規模で襲ったのだろう。


 「いや、十分だ。」

 「そう言って貰えると助かります。それにしても凄かったですね。見た感じ能力を使っている素振りもなかったですし、素であの強さですか...。あはは。なんか笑えますね。」

 

 なぜ笑うのかは分からないが、ゾンビは倒すのが難しいだけであって戦闘力はさほどない。

 なので、あまり大したことではないのだ。



 そしてその後も2度襲撃があったがどちらも最初ほど数がいなかった。

 数が集められなかったのだろう。



 そして俺たちは無事に姫野宅に帰ってこれた。

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