売れっ子アイドルってすごい!
放課後
「んじゃ帰るとするか。」
今日このあとは正門前で姫野との待ち合わせがある。
正門前で相手が姫野だから目立つんだよな〜。
なるべく早く行って人だかりができないうちに帰りたいな。
「じゃあな森脇。」
「ん、ああじゃあな。」
こう見ると普段俺は森脇と帰っているように聞こえるが実際そうでは無い。
なぜなら森脇は裏門、俺は正門から帰るからだ。
つまり、俺はいつもボッチで帰っている。
友達、恋人などで帰っているやつを見ると羨ましくは感じないのだが少し寂しく感じてしまう。
そういった意味では姫野と帰るのも悪くはないのではないか?と、少ししでもそういう考えが浮かんでしまっていた自分に思わず苦笑する。
まあでも相手は護衛対象。気を引き締めて向かうべきだ。
ー正門前ー
俺が向かう頃には姫野はもう来ていた。
やはり俺と同じように人が集まるのはあまり嬉しくないのだろう。
「わりぃ。待ったか?」
「全然。私も今来たところだよ!」
「ん、そうか。じゃっ、人が来る前に帰っちまうとするか。」
「そうだね。」
そういや姫野の家ってどこなんだろ?
すぐに転校できたぐらいだしかなり近いんじゃないのか?
「姫野?」
「ん?」
「お前ん家ってここからどれくらだ?」
「あれれ?もしかしてストーカーするのかな?女の子のうちを勝手に詮索するのはあまり関心出来ないな〜。」
「こっちはお前のボディーガードだ。聞くのは当たり前だしそもそも家まで向かわないとダメだろ!」
「じょーだんだってじょーたん。あとそうだね。ここからだと1時間半くらいかな。」
「1時間半!なんでそんなに遠いいのに転入決めたんだよ!」
「来いって言ったのは君でしょ?それに何も歩きで帰るとは言ってないよ〜。」
「は?」
「ん、どした?」
「どういうことだ?」
「どうもこうもありません。言葉のまんまの意味です。大体が1時間半もこの重いバッグ持ったまま歩くなんて無理だよ〜。そこの信号曲がったとこに車止めてあるからそれで帰るんだよ!」
「この学校保護者送迎禁止なんだが?しかも車なら俺いるか?」
「関係ない関係ない。私を誰だと心得える?今流行りの売れっ子アイドルだよ!大体のことは何とかできる!それに君は家でもガードしてくれないとね!だから必要はある!」
「お、おう。」
うん。こいつが変わってることは理解した。
にしてもそうまでしても俺にボディーガードして欲しかったのか...。それなら精一杯頑張らないと申し訳ないな。
「ほら、これがうちの車。」
「嘘だろ!」
あれは確かハリウッド映画とかに出てくる確か名前はリムジンだ。
てか、送迎禁止でこのめ立ち方はやばいだろ。
「ほら、驚いてないで乗った乗った!」
「あ、あちょっ」
無理やり車に押し込まれたがさすがにすごいな。当たり前のように紅茶が用意されているぐらいにね。
そしてその後しばらく学校のことやなんやらでだべっているといつの間にか着いていたようだ。
「ここが家だよ。」
うん。もう驚かされない。でかい。でかい。でかい。はい!っとまぁ叫ばなかっただけよしとしよう。
「お邪魔しますっと。」
「はいはーい。お邪魔されまっすと。」
「とりあえずざっくり家の中紹介しとくね〜。」
と言われ、そのまま少し家の中紹介してもらっていると。
「ここは君の部屋だから好きに使ってね。」
え、俺の部屋?ボディーガードは日帰りだと思うしそこまでされなくも...ん、ベッドがある。日帰り...。うそぉ...。
「ということで今日から住み込み頑張ってね!あぁ。夕食の時間には呼ぶから〜!」
といって当の本人はスタスタと去って行ってしまった。
マジですか。