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#2:デュエル

2話目です。

初デュエルになります。

「カードオープン」


 俺がそう言うと、目の前にホログラムのようなものが現れた。これが先程お姉さんが見せてくれた奴だろう。これで自分のステータスを確認したりできるのだという。


「それでは、寮の場所も生徒証を見れば分かるようになっています。私からの説明は以上です」

「ありがとうございました」




「これで、私たちは晴れてここの学園の生徒に成れたってことでしょうか?」

「そういうことだと思う」


 俺たちは建物を後にして、少し歩いた所にあるベンチで休憩していた。最初は何気ない話をしていたのだが、エリスがふと思い出したかのように俺に聞いてきた。確実性はないのだが、おそらくはそうなんじゃないかと思っている。


「見てください、ここにフレンド機能がありますよ!」

「ああ、登録しておくか?」

「フレンド機能って何ですか?」


 知らんのかい。という突っ込みをしそうになったのだが、何とか抑えた。危ない危ないここは俺が説明してあげようか。あれ、でも詳しいことは分かんねえな。とりあえず交換するだけしようかな。お互いのQRコードを読み込んでっと、認証完了か。おっ、フレンドが0から1になっている。


「フレンド登録できました!」

「おっ、本当だ」


 フレンド登録すると、お互いが了承すればそれぞれの位置が分かったりと結構様々な機能があるらしい。一番の魅力はビデオ通話というシステムらしい。これは相手に申請して、それを相手が承諾するとお互いの顔を見ながら通話できるという機能だ。勿論顔を見せず、音声だけってこともできるっぽい。


「じゃあ、後で寮に戻ったら使ってみますね」

「本当⁉」

「はい、勿論ですよ」

「いよっしゃあ!」


 エリスに勿論と言われて、俺は凄く舞い上がった気分になった。彼女と部屋でも通話できるということだ。


「智樹君、あっち行ってみよう」

「分かった」


 俺はエリスに着いていった。エリスは色々なところを見て回りたいらしいのだが、一人だと寂しいからということで俺を誘ってくれた。でも、最初に仲良くなったのがたまたま俺であって、誰でもいいんじゃないかと思うと少し悲しくなってくる。


「はっはっは、俺に勝つことはできんのだよ。次は誰でもいいんだぞかかってきな」


 え?あのロボットの恰好をした人もここの生徒なのか?周りに対戦者を呼びかけているようだが、誰も応じる気はないのか目線を逸らしていた。俺はその事実に気づくのが遅れてしまい、目が合ってしまった。


「そうだな、おっそこの坊主俺と一戦交えないか?」

「え、ちょっと」


 断ろうと思ったのだが、あっというまに連れ去られてしまった。


「あの俺、心装をまともに使ったことないんですけど」

「ああ、お前さんは新入生だろう?構わんぞ。俺は色んな奴と戦ってみたいからな」


 なるほど、まぁいい機会だから試させてもらおうかな。とは言ったものの心装の出し方が分からないんだけどな。出したいと思っても必ず出るというわけではなかったから、なんともいえないけど。


「坊主、詠唱はなくても武器は出せるぞ」

「そうなんですか?」

「ああ、具現化したいという意思があればだれにだって可能だ」


 出したいという意思か。この人と戦いたいと思えばいいのだろうか。


「出でよルーチェ!」


  俺がそう言うと右手に感覚があった。そこを見ると水色の剣を持っていた。俺の相棒【ルーチェ】だ。


「ほう、一発で成功させたか。では……おっと名乗るのが遅れていたな。私の名前はアルガだ」

「俺は 七咲 智也です」

「智也かそれでは貴様に決闘を申請する」


 彼がそう言うと生徒証が勝手に起動して、目の前に決闘を申し込まれたという通知が来た。これを承諾すればいいのか。


「智也君頑張ってください!」

「おう!」


 いつの間にか最前列に来ていたエリスに少々驚きはしたものの、彼女に応援されて俺は少し気持ちが高まる。


〖それでは決闘(デュエル)開始します。3……2……1……GO!〗


 機械の声で決闘が始まった。この人はどうやって動くのだろうかって、うわっ。相手がロボットのような恰好をしていた、つまり動きは遅い。無意識の内に俺の脳はそう判断してしまっていた。いつの間にか俺の目の前におり、剣を振るう。くそっ、なんつー重さだ。


「油断したな?ロボットとは言っても、スピードタイプだ。もっともレアではあるんだけどな」


 戦いながら呑気に喋っているのは、俺に余裕であることをしめしているのだろう。随分と挑発してくれる。


「どうした、どうした守ってばかりじゃ勝てないぜ!」

「ぐはっ」


 遂に俺は躱すことが出来ず、その刃が俺の腹を掠った。この程度の傷であれば問題ないのだが、問題はパワーだ。俺が後ろに躱したように見えるかもしれないが、俺はただ刃に当たっただけだ。あの人はもともと当てる気はない。けれどもこれぐらいでやられるわけにはいかない。エリスに格好悪いところなんか見せてたまるか。


「なっ、どうして急に速度が上がった?」


 速度、上がってないと思うけどな。でも相手が驚いているならチャンスだ。俺は真正面から【ルーチェ】をアルガさんで斬りかかった。


「ぐぬぅ」


 アルガさんの表情が変わった。この表情を見るに力は互角。次はどう来る、これは正面から突いてくるな。


「なっ!?」

「うお、あの一年凄くねえか?」

「アルガさんが押されているぞ」

「頑張れ!一年坊主!」


 観客から様々な声援が飛び交っていた。俺がここまでやれたことに対する驚愕が大きいようだった。


「だけど、ここで終わらせる。『速剣(そっけん)』」

「ぐはっ」


 アルガさんを吹き飛ばした。このスキルは【ルーチェ】にある初期スキルのようで、あらかじめ生徒証見て確認しておいたから良かった。


「ぐぬぬ、仕方ないこれだけは使いたくなかったのだが、負けたくもない。私も使わせていただこう。い出よ【ヘビス】」

「うおっ、ついに出したぞ」

「アルガさんの心装だ、かっけぇ」


 あれがアルガさんの普段使っている心装だろう。つまり今までは完全に舐められてたってことか。彼はその大剣を俺に向かって振り下ろしてきた。押し負けてるな。ならば、もう一度横に躱して。


「同じ方向に動いても見え見えだぞ?」

「しまっ」


 俺は吹き飛ばされた。くそっ、勝てる見込みがねぇ。さっきよりも動きづらくなっている。再び剣で防ごうとしたのだが、力に押され剣を落としてしまった。


「これで終わりだ」


 そして、俺は斬られた。


決闘終了(デュエルフィニッシュ)。勝者アルガ』


 倒れている俺のもとにエリスがやって来た。


「智樹君、大丈夫だった?」


 彼女はそういうと俺に優しく手を差し伸べてくれた。


「ごめん、いいところ見せられなくて」


 エリスが応援していてくれたのにも関わらず勝つことが出来なかった。それが何よりも悔しい。


「智樹よ。私が自分の武器を使っていなかったが、それでも新入生であそこまで追い詰めたのはお前さんが初めてだ。また、いつか戦おう」


 そう言うと、彼は俺に握手を求めてきた。俺が彼と握手すると周囲が盛り上がった。




「勝てるとは思ってなかったけど、やっぱり強かったな」

「そんなことないと思うよ。いい戦いっぷりだと思うよ。智樹君」


振り返るとそこには紫色の髪の女性が立っていた。


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