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序章2

視界が白一色に埋まり、目を閉じていても痛くなるような光が弱くなったのを理解して目を開ける。

そこは、太陽の光が僅かに射し込む程度。時雨はその暗い路地を真っ直ぐに歩く。少し遠いところからは賑やかな人の話し声がいくつも聞こえる。

暗い路地を抜け、雑踏の中へと入る。そこは学校の通学路で、この道を真っ直ぐに行けば学校の正門前、ということで道には学校の制服を着た生徒は勿論、学校近くの駅へと向かう社会人、近くの公園で遊ぶ小さな子供。時雨はこのいつも見る光景がとても好きだ。いつも通りの風景を見ながら学校へと向かう。

東京都八王子市にあるこの学校は9階まである大きな建物が目を引く。時雨はここに通う高校2年生で、もう時期、高校三年生になろうかという時期だ。交差点にはこの学校の教師が立ち、中学校から見ていた時雨からすれば、五年ほど見続けている光景だ。

学校の正門前に着き、微かに聞こえるピッという音が聞こえる。時雨にとってはこれはあってもなくても関係はないのだが、校門を通ると生徒が必ず一つ持つシステムカードを読み取り親へと登下校時間を知らせるのだ。

「おはよう、裕之!」

「うん、おはよう」

中学一年から今に至るまでの5年間ずっと同じクラスのクラスメートである。

そのまま、二人で校舎へと入る。二階まで吹き抜けで落ち葉の残る窓からは太陽の光が射し込み、明るく照らす。靴を履き替え、すぐ側のエレベーターへと向かうが、先に待っている人が多かったために諦め階段を一段飛ばしで上っていく。七階にまで上がり教室へと入る。既に来ている人は友達同士で話したり、その日のテストの勉強をしたりと様々である。時雨は窓側の一番後ろ、他の席と比べて前の席と明らかに話されている席へと座り、朝礼が始まるのを待つ。担任が今日の日程を伝えて出て行く。一時間目から移動しなければならない時雨はロッカーから教科書を出し、教室へと向かう途中の階段を下りていると

「君はどうしてそう、話さないんだい?」

そう、女生徒に言われた気がしてすぐに、後ろを振り向くがそこには生徒の姿は一人もない。気のせいだと思い直し、また階段を下りる。

「いやいや、無視はダメでしょー、時雨ちゃん」

流石にそういない、であろう自分の名前を呼ばれて振り向かない者はいない、まして自分と今亡き親以外は誰も知らないはずのその名を呼ばれて振り返らないわけがない。そこには、この学校の制服を着た女子高生が一人、階段に座って足を伸ばしてこちらを見ていた。

「誰?」

「三南雲 楓、十六歳。高校一年生です!」

そう名乗った彼女は時雨を見て

「どうしてあなたが選ばれたのかは知らないけど、今日から気をつけてね。せーんぱいっ!」

と言い残すと階段を下りて行く。何のことかわからない時雨はそこでそのまま固まり、一時間目開始のチャイムを耳にして、ハッとまた時雨の頭が動き出す。

「あ、やばい。遅れる………」

階段を駆け下りて時雨は教室へと向かった。

もし、これの1話読んで2話にも来てくださった方ありがとうございます!これからも不定期でちょくちょく出していくのでこれからもよろしくお願いします!!

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