少女セニサの過去
自分は産まれてからとても祝福されていた。
自分の名前はセニサと言うらしい。
産まれた人は直ぐに村に一つしか無い教会にいき、水晶でステータスを調べる。基本的には水と自然の加護が入るらしいがたまに火の加護が入る人がいるらしい。 何かしらの加護を持っているか、自分の娘・息子は期待を持てるのかを両親は直ぐに知りたいみたいだった。
それに、何らかの加護を持って町へ行き騎士志願すれば出身村に寄付金が入るらしい。特に珍しい加護やスキルには多く寄付金が貰えるみたいだ。
自分も産まれて直ぐに調べたらしいが加護は無かったみたいた。
それなのに自分は特別扱いされた、と言うより5歳になってから他の人とは余り会えなくなった。
教会の奥の細長い廊下の一番奥に自分はいる。部屋の中はこの村に相応しくない豪華なベットと食事をする為の椅子やテーブルが一人分だけそれ以外は身の回りのことをする為か、逃さないためか扉の前に女性が一人居るだけだった。これも『予告』を持っているからだそうだ。自分は何故ここに居るのかお母さんは?お父さんは?しばらく会ってない。自分は思い切って聞いてみた。
「ーーあ、あの。お母さんに会いたいのですが。」
「すみません、しばらくお待ちください。」
「えっと、それはーーー。いつまでですか?」
「私にはわかりません。」
こんな感じのやり取りをしていると、自分はいつまでもここで過ごさなくてはならないのではないかとさえ思えてくる。
しかし、本を貸してくれるのはうれしい冒険談とか勇者の伝説とか自分には面白くなんども読み返しした。
そうやって過ごしていたら自分は6歳になっていた。
昼の食事を扉の前の女性が片付けながらこの後、神父さんが会いに来るので無礼のない様にと無愛想にいっていた。
神父と会うのはステータス確認以来になるのでしょうね。赤ん坊だったので、ほとんど初対面といって良いだろな。何て思っていると。神父が扉を勢いよく開け入ってきた。
「やぁ、セニサちゃん。元気かな?産まれた時から白い髪は今日もとても綺麗だね!」
何てよく喋る人なんでしょう。と呆気に取られていると。
「今日はお願いがあってきたんだよ!聞いてくれるかな?ーーー聞いてくれるよね!!お願いはね『予告』を使ってみて欲しいんだ。」
「えっと、『予告』をですか?」
神父が来る理由はそれくらいしか思いつか無かったら初めてだけど使えない訳ではないとおもう。
でも、自分のお願いも聞いてもらいたい。一つでいいから。
「使っても良いですがお願いを一つ聞いてもらえますか?」
「お願いにもよるけど、先ずは『予告』が使えるかが先じゃ無い?話はそれからさ。ま、明日も同じくらいに来るからそん時宜しく。」
神父はそう言うと、手をヒラヒラさせながら出て行ってしまった。扉の前の女性も食器を持ちながらそれに続く。そしていつもの様に扉の鍵が閉まる。
翌日、同じ時間に神父がきた。
『予告』を使って見せて欲しいとの事だった。
自分はためらいながらも頷き。
「初めて使ってみるので使えるかわかりませんが、やってみます。」
「うん。お願いするよ。」
そう言うと神父は扉のすぐ近くの壁にもたれかかりながら、頷きます。
自分は魔力が足りるかの心配をしながらも、『予告』が使用できる様、胸の前で祈る様にスキルを使用しました。
すると、使用出来たのか髪の先が少しうき始め。
先端から様々な色に変わっている様でした。
慣れないせいか最初は目を閉じていると、頭の様々な文字が浮かび上がり徐々に様々なペンキの缶をこぼした様な色で頭の中が押し潰され吐きそうな気持ちになります。
しばらく経つと慣れてきたのか自分の頭の中に断片的ではありますが、話し声が聞こえて来ました。2人が話し合っている様ですが姿は見えません。
「ーーーいかなーーーみたいね。」
「ーーーーーねぇ。」
「まぁ、ーーよーーーみてーーーょーー」
「はい、ーーい」
かなり断片的的で、全くと言っていいほど解ることがありませんでした。
すると途端に視界が暗くなり、自分は気を失いました。
目がさめるといつもいた扉の前の女性の方が自分を介抱していたかの様で、ベットの横に座りながら寝ている様でした。
(どのくらい気を失っていたんだろう。)
窓の外を見ると暗く月が高く上がっているのが見えました。
自分は布団に潜り込み、『予告』で見たことを思い出します。かなり、断片的ですが。
余り良くない状況に対し話し合っている見たいだと、感じそれをそのまま明日神父に伝える事にしました。
翌日の朝早くに神父が来て、何が見えたのか。どうだったのかを教えるようにと押し迫る勢いでした。
扉の前の女性は興味がないのか、自分を一日中介抱していたからなのか、はたまたどちらもなのか。分かりませんが、神父の後ろで眠たそうに欠伸を噛み殺していました。
自分は昨日見たことをそのまま伝えました。
神父はその事を受け。顎に手を当て考えるような仕草を取り、こう切り出しました。
「他には何も見えなかったかい?」
「と、言いますか。断片的過ぎて上手く伝えられているかが分かりません。」
「ふーむ・・・・まぁまた明日使ってみてほしい。水晶で一様は確認するけど、明日の夜には使える程魔力が回復しているはずだよ。」
自分が気を失っている間にどのくらい回復したか調べたのだろうか、抜け目ないなぁ。
「分かりました。あの、両親に合わせてもらえると言うのは。」
「今君の両親は街にいっていてね。君の父親は騎士だったろう。それで呼ばれたらしい、母親もそれに着いていった様だよ。」
「はぁ。で、でしたら。代わりに手紙をお願いします。」
神父手紙なら帰って来たら直ぐに渡すから、かけたら渡してほしいと言い部屋から出て行きました。
自分はそれから何度も『予告』を使用し、見えたものを神父に話しました。未だ手紙は帰って来ませんが自分は両親に会うためにも頑張ります。
26回目の『予告』の時、初めてハッキリと見えました。それは勇者の伝説の本の中に出てくる神様の容姿とそっくりでした。
「やはり、進ないねぇ」
「良くも悪くもですか?」
「まぁ、私的にはその世界潰してしまって。別に試したい事が有るんでさっさかたたんでしまう?」
「う〜ん。」
自分はその世界と言うのが本能的に自分達のことだと理解出来た、急いで神父に伝える事にいた。
神父は最初驚いた顔をしたが勇者の伝説の本に載っている神様か、見間違いでないか、またみて来てほしいと言っていた。
特にこの教会は水の神を大切にしている事から水の神に感じての事はある程度なら照らし合わせれると。
それから更に18回程『予告』をしたが同じ様な内容のものばかりでたまに、全く知らないの無い山あいにある村が、見れたりする程度だった。自分がなぜそのような『予告』を見始めるようになったのかはわからないが世界が終わると神父に告げた時の重苦しい重圧のような物から逃げる夢のようなものに感じられた。
扉の前の女性が食器をかたずけているときに小さく耳打ちしてきた。
「今日は月がきれいですので、見てきてはいかがです?」
そして扉の鍵を閉めずにそのまま行ってしまった。
何度目かの『予告』で水の神の照らし合わせも確実となり、自分の『予告』が確実に当たっていると神父自身も感じ始めただろうと。セニサが思い始めたころ。
67回目の『予告』を終え似たような内容を神父に伝えたら神父はそろそろここから出るかいと頬を吊り上げ笑っているのかわからない表情で手を差し出してきた。自分はその表情がとても不気味に感じたが、出した手紙は一向に帰ってこないし速く両親に会いたいと思ったのでその手を迷わずとることにした取ることにした。
神父は自分を引き連れ扉の外へ連れゆく、その表情は満月の良く出ている夜だったのにすぐに扉のほうへ向いてしまい見えないが何か焦っているようにも思えた。
久々に部屋の外に出たら一気に世界が広く感じるものだなと、両親に会えるのではないかと淡い期待のせいかセニサは少し余裕があった。しかし、その余裕はすぐに吹き飛んでしまう。
近くに石作りの階段がありそこを降りていくとあまり使われた形跡のない牢屋があった。神父は先ほどと変わらない顔で牢屋の鍵をガチャリと開け自分のことを放り込んだ。そして鍵をしてどこかへ行ってしまった。
自分は神父がいなくなっても理解が追い付かずただ石造りの階段を見ていた。
しばらくすると扉の前の女性が食事を持ってきた前と比べるとかなり質素で半分のパンと水が少しだけだった。そしてそのお盆の上には自分の書いた手紙が乗っていた。
自分はさらに訳が分からなくなった。これはいったいどういうことなんだろう。なんでどうしてということが自分の頭の中で反響する。
ついじぶんは口に出してしまっていた。
「これは、なんなんですか?わたしはなにかしたんですか?」
扉の前の女性は身を翻し声を低くし。
「・・・・・愚かな子。」
それから自分は手紙を眺めていると1つ自分の書いた元とは別に殴り書きのように挟まっていた。
『予告』持ちの少女の考察
6歳少しになって予告が使えるようだが連続しては無理なようだ
気も失うので2日以上待たなければいけない
予告の内容はだいぶ初めての予告は夢物語のようだったがいずれコントロールできるようになるだろう。その為に村人を使って両親も処分したのだから。
夢物語が続くようなので少し調べてみることにした、あまりいい内容ではないようだ
世界が滅ぶとか言っている冗談ではない、何のために、何のために
確認を取るために特徴を言ってもらったがかなり一致しているほかの髪ならまた別ではないか?
自分では無理なので、特徴を聞き出し別の神父と照らし合わせてみることとしよう。
これもだめだ、一致している。ふざけている
あぁああ、ふざけている、いくら払ったと思っている。終わるものに何を期待していたのか・・・
自分は言葉を失った。両親がいないこと、それでは手紙がとどかないわけだ。ではなぜこれを渡したんだろうそれは自分にとってとても不気味で気味の悪いことだった。
自分が涙を流さずに首をかしげる様子を見て、扉の前の女性は悲しそうな眼をしながら―――。
「これは、私と神父の罪の告発みたいなものです。」
そんな勝手な、私は泣いているのか笑っているのかわからなかった。でもこの人たちが本当に憎かった。殺したかった、でも鉄の策に拒まれ何もできない。あぁ。本当に―――――、自分は鉄の策をガンガン叩くが血が出て、鉄の策はびくともしなかった。あぁ、助けてよ神様本当に。
それから扉の前の女性も神父も来なくなった。
苦しさのあまり、夢を見るように『予告』を使った勇者に助けてもらえるように。神様に助けてもらえるように。魔物に助けてもらえるように。誰かに助けてもらえるように。
――――あぁ、今日は何日目だっけ。
すごく焦げ臭い、でもなんだか温かいからいいか。
・・・しかも変な格好の人まで見えるしや。