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I
ーーーー星が流れる夜。
悲しい夢を見た。
必死に掴もうと手を伸ばしてもその手は空を掴むばかりですり抜けて行ってしまう。
星がまた一つ遠くで尾を引くのが見えた。
眩く瞬かんばかりの星が二人を包んでいる。
「もう、行かなくちゃ」
儚く今にも消えてしまいそうな微笑みを浮かべながら彼女は言った。
少女の背を向けるその姿に少年は待って、と手を伸ばした。
ーーいや、伸ばそうとした。
その時、一瞬昼かと錯覚してしまうくらいの眩い光が少女を包んだ。
白い透明な光。優しい光。
彼女の纏う雰囲気によく似合う儚い光。
「い、か、ないでーーーー」
少年はただひたすらに手を伸ばして叫んでいた。
決して届かないとは分かっていながら。
ーー夢だったのかもしれない。
しかし、その夜、彼は一人の少女が星に呑み込まれるのを見た。