粉雪に紛れ現れるもの 4
「さて、どうすっかなこいつ。」
「だったら児童養護施設にでも突っ込めば?」
「・・・・・・お前、見た目や日頃の行動とは裏腹にすごく冷えこと考えるとかあるよな。」
この少年をどうすべきか考えていた。学校で習っていても実際にこうなると少し混乱している。相方は冷静すぎるが、実際それもひとつだと思う。別に記憶が曖昧とかという印象はない。だから虐待から逃げてきたとかの線もなくはない。しかし・・・・・・
「あー、この飲み物なんていうのか分からないが、すごく癒される味ですね〜。」
この少年の常識のない感じから察するに、しかしペラペラな日本語があって本当よく分からない。
外人に見えない完全純日本製な彼は、子供の頃誰もが通るはずの日本茶を分からずも啜っている。
「・・・てか分からないもの飲むなよな。」
「うーん・・・てか別にお兄さんたち悪い人じゃないから、そんな人からもらったものを悪いものとは思わないけどなー。」
本当に、よく分からない少年だった。
「・・・じゃあ部長、また明日です。」
「おう、二人とも体調には気をつけろよー。あとその少年のこと頼んだからな。」
ひとまずは交代の時間で俺と才加は、ひとまず俺のうちで保護する事となった少年お連れて交番から出た。そんな俺たちを30年勤務の巨漢な先輩に見送られて・・・・・・。
「・・・てか先輩、本当にその子面倒見るの?」
「まあ、な。こうして連れてきたのは俺だし、すぐどこかにってよりかは話を聞いてからでもいいかなと思ってな。」
と言うより、この少年には何か違うものを感じていて、単に謎が好きなのかも知れない。もちろん俺が、だが。
「・・・・・・無駄な善意はただただ可哀想なだけですよ。」
「そんときゃそん時だ。」
やけに今日は突っかかってくる同期を背に、俺は前方で歳に似合わないくらいはしゃぎ回る少年を見ている。
『彼に常識はない』
俺は先ほど確かにそう思った。しかしよく考えて見ると––––
『・・・うまっ! おっさんこれ超うまいよ!!』
『あー、この飲み物なんていうのか分からないが、すごく癒される味ですね〜。』
『うーん・・・てか別にお兄さんたち悪い人じゃないから、そんな人からもらったものを悪いものとは思わないけどなー。』
––––このどれもが、俺が、いや大人になっていく俺たちがいつの間にか切り捨てて忘れてしまった『心』だと、このただただ現実しかない俺たちに、何故かこの少年に突きつけられているように見えてきた。
「・・・・・・い、先輩!」
「んおぁ!? な、なんだよいきなり!」
俺はいきなり耳もとからきた声に驚いて飛び退いた。
「先輩、全然聞こえてなかったもん・・・考え事にふけるなんて珍しいですね? 雨に変えたいの?」
「そんな力ねーよ。」
俺をなんだと思われているのか考えつつ、そこからは他愛ない会話をして帰った。