粉雪に紛れ現れるもの 3
俺は変な少年を連行した。
彼についてで見た目から分かる事は、彼がおそらく来年高校生になるだろう歳という事だけ。名前は『平和 湧磨』と答えたものの、名前はキッパリと答えたが苗字に少し悩んでいたところから、もしかしたら偽名なのかもしれないと思う。
服装は見慣れないコートと、中に少しボロボロなシャツが見え隠れしていた。
ひとまずは彼をどうすべきか頭をひねっていたところに、風が通り抜けながらドアが開いた。
「あー寒い! 先輩何か飲み物だし・・・・・って来客ですか!」
「まず閉めろサヤカ、俺もこいつも寒いから。」
寒いと言いつつドアを閉めない俺の後輩『金谷 才加』に注意し、呆けていた彼女は舌を出しながらドアを閉めた。
「へー、補導ですか~。この時期なら普通はよくある事ですけど・・・・・・確かに『粉吹市』に至っては珍しいですね〜。」
「だろ?」
「まるで私たち、おまわりさんみたい!」
「おまわりさんだからな。」
警察学校を二年前に卒業、去年から配属されたのだが・・・・・・あまり警官みたいなことした試しがない為、一年遅れのうちの後輩は完全に見廻りを散歩と勘違いしている所がある。末期だ。
ここ『葉坂町』は基本事件らしい事件は起きない。
しかし別に、この町が安全な訳ではない。この町の裏は深く、『闇業者の巣窟』だの『ヤクザやギャングの溜まり場』だの『中学生で危険なヤンキーがいる』とかでかなり町は衰退している。
しかし元々はこんな町ではなかった。商店街は賑わっていて、学校も治安がよく、絶景もあるいい町だった。何より、それを差し引いても『葉坂高校の大木』の知名度で今なお合併はない。
あの日の・・・・・・『神隠し事件』が起きるまでは・・・・・・・・・。