粉雪に紛れ現れるもの 2
「・・・・・・ほら、これ食え。」
「あ、ありがとうございます。」
机の上に大きな器にのせられた、あの世界では見たことない食べ物に、俺は匂いにおされていただいた。
「・・・うまっ! おっさんこれ超うまいよ!!」
「おっさんって・・・・・・まあ確かにそろそろそんな歳かな。」
俺の向かいで同じ食べ物を掻き込むように食べたおじさんを見て、俺も真似した。すぐむせたけど。
「これ、なんて飯なんですか?」
「何も知らないんだな・・・・・・これは『カツドン』ていうもんだ。まあこんな形でやってみたかったから用意した。」
むせている間も食べていたおじさんは、カラになった器を置いて、机に手を組んで置き、顔色を変えた。
「・・・そろそろ答えてくれないか? 君はどこに住んでいて、親はどこにいて、どうしてこの時間に外を出歩いていたのかを、な。」
俺の向かいで座る、服は青く、胸に何かのマークみたいなものをつけていた男が、ちゃぶ台を挟んで睨みをきかせていた。
ここはおそらく、師匠が昔教えてくれた『交番』という、あちらの世界でいう『憲兵』のような人の集まるところなのだろう。そして彼が『おまわりさん』という人だろう。
丸くカチカチとなる、数字が12までふられたものが、ちょうど12に二本の針が重なっていた。
数十分前、俺は白く冷たいわたを払いながら寒さをしみじみ感じて歩いていたところ、おまわりさんに「こんな時間に変な服装で怪しいガキ」という理由で連行された。