粉雪に紛れ現れるもの 1
「魔王と勇者に好かれたもの」の外伝です。
・・・・・・もし本編見てくれた人がいればありがたいのですが、本編も今回こそは書きますのでお待ちくださいm(_ _)m
『・・・・・・って・・・・ゆ・・・・!』
『いかな・・・・・・まっ・・・・・ま!』
二人の少女の声が聞こえるが、もうかなり遠くなっていく。
二人の泣き声に心が痛む。しかし俺はもうここに居られないと思うからこそ振り返られない。戻ってはいけない。
・・・・・・でも、また会える気がしていた。彼女達ならきっと––––
「・・・ブハァ!?」
七色に歪む空間を抜けた先、俺はなぜかどこか見知らぬ地の上空にいた、と思った瞬間にはもう遅く、白い何かの中にドサッ、と落ちていた。すごく痛い、そして冷たい。
だけどこの冷たさは、この痛みはあの二人が感じたものに比べればなんともないことだと思う。
「俺はお前らの何なんだ、か・・・。」
俺は彼女達にそう問い、答えを聞く間も無く消えてしまった。全く身分不相応なこと聞いたなと後悔しかない。
「・・・俺こそ、あいつらをどう思ってたんだろうな」
夜風を凌ぐには薄すぎるローブのフードを深くかぶると、暖かくていたい何かが頬を流れ落ちた。