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炎のプロローグ
一本の火柱から炎の鎖が生まれ、無造作に飛び出る。
ふつふつと沸くマグマから、抜き出た釘のような火柱に、炎の鎖が絡みついているようだ。
それらは役割を与えられることなく、自らを吐き出したはずの所へかえる。
信じられないほど冷たいその肌を、慰めるものはいない。
地鳴りのような声も、空気を食らう風の音も、自分から生まれて自分にかえる。渦巻く感情を、燃え上がるようなその憤りを、自分の中に取り込んで、押し留めるように。
そうしていくうちに、知ってしまった。
おびただしい数の怒りがあることに。
さあ、愚かな人間が思い知る時がきた。
彼女は高らかに、怒り狂った炎の渦に乗せて歌う。
恐れても畏れない者たちに、やがて届くまで。
20160129